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2015年まとめ

2015年の笙野頼子さん情報を振り返り、まとめてみます。

・2月ついに文庫版『金毘羅』『笙野頼子三冠小説集』Kindle化。代表作が電子書籍化して嬉しかったですね。

・4月に講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1990~1994』に「タイムスリップ・コンビナート」が収録されました。
本作は下記論文の評価が一番正確だと思います。
島村輝「鶴見線海芝浦駅縁起:笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」と「五五年体制」」
「タイムスリップ・コンビナート」という話は 「あらすじ」をいえば主人公が住まいから 「海芝浦」という駅に辿り着くまでの話、そういう意味では非常に単純な話であるが、主人公が通りすぎ、辿りついていく風景に敷きこまれているのは、沖縄をめぐる日本とアメリカとの関係であり、京浜運河の埋め立てに伴うさまざまなエピソードであり、あるいはまた東芝という会社がいつ何をしていたのかという 「歴史」や 「社会」の在り方である。そうした重層的な 「歴史」や 「社会」のあり様が組みこまれているのが、「海芝浦」付近の 「風景」なのだと、この小説は示しているのだ。そういう意味で、「タイムスリップ・コンビナート」の語り方は「金毘羅」や新シリーズとよく似ていますね。

・8月6日発売「すばる」9月号に崎山多美さんのエッセイ「習合ぎりぎりの境界から、私信ふうに、拝啓、笙野頼子様」が掲載。

・8月7日発売「早稲田文学」2015年秋号の緊急企画「安全保障関連法案とその採決について」アンケートに笙野頼子さんの回答が掲載。
「安全保障関連法案に反対する立教人の会」にもコメントが掲載されていましたね。

・オンライン署名活動サイトchange.orgの、三重県志摩市公認萌えキャラクター「碧志摩メグ」の公認撤回を求める署名活動に笙野頼子さんが賛同コメントを寄せられました。
まさかchange.orgで笙野さんの投稿が読めるとは、本当に驚きましたよ。
その後11月に「碧志摩メグ」の志摩市公認は撤回されました。

・10月に出版されたドゥルーズ本『ドゥルーズ 没後20年 新たなる転回』に笙野頼子「すべての隙間にあり、隙間そのものであり、境界をも晦ます、千の内在」が収録されました。
馬場秀和ブログにエッセイの解説と感想がアップされています。

『ドゥルーズ 没後20年 新たなる転回』に笙野頼子エッセイ

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10月24日発売の河出書房新社編『ドゥルーズ 没後20年 新たなる転回』が届きました。ありがとうございます!
没後20年を記念したドゥルーズ本になんと、笙野頼子さんと萩世いをらさんのエッセイが収録されています。
笙野頼子「すべての隙間にあり、隙間そのものであり、境界をも晦ます、千の内在」
萩世いをら「参照点のない読書」タイトルは上の2作。本の発売は公式サイトで存じてましたが、この事は全く知らず。くやしい。ということで目次を掲載。



河出書房新社編集部『ドゥルーズ 没後20年 新たなる転回』もくじ
対談
小泉義之×千葉雅也
「ドゥルーズを忘れることは可能かーー二○年目の問い」
宇野邦一×鵜飼哲
「概念の力と「地理哲学」ーードゥルーズを読みなおすために」
江川隆男×堀千昌
「絶対的脱領土化の思考」

文学者が読むドゥルーズ
笙野頼子「すべての隙間にあり、隙間そのものであり、境界をも晦ます、千の内在」
萩世いをら「参照点のない読書」

展望
檜垣立哉「ドゥルーズ歿後二○年の〈世界的現在〉」
近藤和敬「ドゥルーズに影響をあたえた哲学者たちーー「プラトニズムの転倒」をめぐる」

生成
アンヌ・ソヴァニャルグ「リゾームと線」 訳=小倉拓也+福尾匠
フランソワ・ズーラビシヴィリ「カントとマゾッホ」 訳=小谷弥生
ジャン=クリストフ・ゴダール「1960年という瞬時におけるドゥルーズーー思考の新たなイマージュ?」 訳=小林卓也

内在
ペテル=パル・ペルバルト「主体化、非主体化」 訳=五井健太郎
ローラ=U・マークス「ドゥルーズ哲学へのモッラー・サドラーの潜在的な貢献」 訳=森元斎

動物
ブライアン・マッスミ「非人間的回転」 訳=黒木秀房
パトリック・ロレッド「動物は人間のように愚かであることができるかーーデリダとドゥルーズをめぐる「超越論的愚かさ」について」 訳=西山雄二+小川歩人

闘争
李珍景「ドゥルーズの唯物論、あるいは「外部による思惟」」 訳=影本剛
廣瀬純「悲劇的なこの世界では哲学が直ちに政治になる。ーー一九六九年、スピノザからストア派へ」

主要著作ガイド
『哲学の教科書』『経験論と主体性』山下雄大
『ニーチェと哲学』黒木秀房
『カントの批判哲学』小林卓也
『プルーストとシーニュ』黒木秀房
『ベルクソンの哲学』岡嶋隆佑
『ザッヒェル=マゾッホ紹介』小谷弥生
『差異と反復』朝倉友海
『スピノザと表現の…

「碧志摩メグ」志摩市公認撤回署名活動に賛同コメント

三重県志摩市公認萌えキャラクター「碧志摩メグ」に対して、志摩町の現役海女の方が公認の撤回を求める意見書が提出されました。
再度8月13日に現役・元海女ら211人市民98人分の309人分の反対署名を市に提出されましたが、市は応じない方針を示しています。
さらに、オンライン署名活動サイトchange.orgにて、三重県志摩市公認萌えキャラクター「碧志摩メグ」の公認撤回を求める署名活動が行われています。
そこになんと笙野頼子さんが賛同コメントを寄せています。
人気順で12番目くらいとはいえ、沢山の賛同コメントに埋もれてしまい見つけるのは困難。ありがたい事に岡和田晃さんがブログにコメント文をアップしてくれました。
Flying to Wake Island「三重県志摩市公認萌えキャラクター「碧志摩メグ」の公認撤回を求める署名活動」に賛同します&笙野頼子さんのコメント
ネットに投稿しないと決めておられた方が、ネット署名に参加されるとは。驚きを禁じ得ません。
いうまでもありませんが、著者は三重県出身で『なにもしてない』収録の短編「イセ市、ハルチ」は伊勢が舞台ですし、『金毘羅』は生まれ故郷の話がモチーフのひとつになっています。
(あと私も署名しました)
(追記:9/14)
伊勢新聞「海女キャラ、一時撤去 指摘受けデザイン変更へ」2015/9/9(水)
9月7日に「碧志摩メグ」のパネルとポスターが市庁舎から撤去されたそうです。デザイン変更のため一時的な撤去だとか。
今度はモデルである現役海女さん達も納得できる愛されキャラを作って欲しいですね。
(追記:11/5)
NHK 三重・志摩市の海女キャラクター 公認を撤回
中日新聞 碧志摩メグ「公認」撤回 志摩市が発表
碧志摩メグの志摩市公認が撤回されました。キャラクターのデザインは変更せず、民間で伊勢志摩海女萌えキャラとして活動されていくそうです。

「すばる」9月号崎山多美エッセイ・「早稲田文学」2015年秋号アンケート

2015年8月6日発売「すばる」9月号に崎山多美さんのエッセイ「習合ぎりぎりの境界から、私信ふうに、拝啓、笙野頼子様」が掲載されています。
集英社「すばる」9月号もくじ
崎山多美がエッセイ「習合ぎりぎりの境界から、私信ふうに、拝啓、笙野頼子様」を寄稿。沖縄に暮らし小説を書く崎山多美が、四半世紀ぶりに東京を訪問。そこで笙野頼子と出会い、語り合うことで感じた、「フツフツとしたなつかしさ」。この感情は、何に由来するのか……?
文芸誌『すばる』の公式アカウントよりそれは「世界の理不尽さに全身全霊を込めて立ち向かう者の身体から発せられる、フツフツフツとした声のトーン」が、沖縄で活動しておられる方とにているからだと気づいたそうです。
崎山多美さんは2015年3月に雑誌「越境広場」を創刊・編集を手がけておられ、創刊の辞がネットで公開されています。
雑誌「越境広場」創刊の辞「沖縄を交差点として」

8月7日発売「早稲田文学 2015年秋号」の緊急企画「安全保障関連法案とその採決について」アンケートに87名の回答があり、笙野頼子さんの回答が掲載されています。
http://www.bungaku.net/wasebun/magazine/index.html
市川真人早稲田大学准教授の「早稲田文学」アンケートは、2003年11月号「書き手にとって「雑誌」とは?」、2004年5月号「ブンガクシャは派兵と改憲についてどう考えるのか」が行われて以来11年ぶりだそうで。
「法とその解釈をめぐる問題は言葉と物が鳥の問題でもあるはず」という前提のもと「みなさまがとりあえずいま、どのようにお考えかについて集約的に掲載させていただき、社会に思考の材料として提示」するとともに今後の特集に備えることができればと、早稲田文学編集室よりメールで以下のアンケートをお送りしました。
「昨日、衆議院特別委員会で可決され、本日の本会議で採決が予定されている安全保障関連法案について、またその審議や採決の進められ方など一連の事態について、さらには未来へ与える影響や是非などについて、現時点でのお考えを伺いたく存じます」校了前4日、期限48時間(短!)、文字数250文字前後、ギャラなし掲載誌送付のみ。という条件でお願いしたそうです。
いとうせいこうさんにも回ってきたけどは答えなかったとか。
まだ文芸フェスってやるのかな。日本財団バックの…

安全保障関連法案に反対する立教人の会に

「安全保障関連法案に反対する立教人の会」の賛同メッセージに笙野頼子さんのコメントが掲載されています。
(firefoxだと重いので注意)http://rikkyo9.wix.com/home
とっても非力だけど賛同します。2006年刊、拙著「だいにっほん、おんたこめいわく史」の宣伝用帯に「憲法を地上げ」と自分で書きました。あくまでも近未来SFのつもりでした。しかしこの嫌な政治嫌な言説嫌な統制の、なんというあまりにも嫌なスピード!「憲法の地上げ」、そのうえでそこに住んでいる国民に対し、命の「追い立て」に来るわけだよ。
むろん立教人といったって私は特任教授、そのうえ原始キリスト教は好きでも完全な異教徒。でもね、短い期間の私にも教え子がいるのだもの。どのひとりだって死なせたくないよ。教え子の配偶者だって、友達だって、死なせたくないよ。ていうか誰も戦争で死んでほしくないわい。
「戦争迷惑戦争不快余計な用事それは戦争」って十年以上前の自作から引いてここにソッコーで書いておくね。
野間文芸賞作家 笙野頼子私も心から賛同します。
それにしても、ここ1・2年「笙野頼子読んでると現実のことすぎて」というツイートが多くみうけられますし、目的を叶えるために事実を歪めるロジック(おんたこ的言説)が増えているように思います。

念のため補足)笙野さんは、2011年4月から立教大学大学院文学研究科比較文明学専攻特任教授になられ、大学院で教えておられます。指導方針ちょっと面白い。

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント 悟りとは何か』

今年の4月末に新潮社から出版された、魚川祐司『仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か』を読みました。
仏教の開祖であるゴータマ・ブッダのいう「解脱・涅槃」とは何か、ブッダが「悟った」後なぜ死ななかったかを解説した仏教論考。
経典や研究から「解脱・涅槃」「悟り」について、一章づつ噛み砕いて丁寧に説明されているので、門外漢にもわかりやすい。文章もよみやすいですし。ただ後半仏教用語が多発して涙目になりましたがなんとか読み切れました。
あとブッダの生きづらさのベースにある輪廻転生がよくわかりませんでしたが、これは私が歴史的背景を知らないせい。調べてみたいです。

ようするに「悟り」って、終わりなく欲望に執着し続けて生き続けるの苦しい→一つ一つの現象そのものをありのままに理解しよう→解脱した!→生きるの楽〜みたいな。(超アバウトな理解)
物事に意味づけ・物語なしで生きるって、犬や猫のような動物的な感じでしょうか。なんかその方が断然生きやすそう。
(ドッグトレーナーのシーザー・ミランがテレビ番組で「犬は行動に意味づけしない。今を生きてる」ってよく言ってはる)

http://www.shinchosha.co.jp/book/339171/
公式サイトには本のもくじ・立ち読み・佐々木閑さんの書評が掲載されています。
書評では日本の仏教の主流「大乗仏教」とブッダの教えとの違いと現在の状況を解説。こちらも面白い。

あと著者はtwitterのニー仏@neetbuddhistさんなんですよ。こちらはおっぱい成分多めなので注意。
後から知りましたが、Kindle版で「だから仏教は面白い!前編」と「だから仏教は面白い!後編」を出されてるのですね。目次を見る限り内容が書籍とよくにています。プライム会員の方は無料なので、お試しで読めますね。
ウ・ジョーティカ氏の講演録『ゆるす: 読むだけで心が晴れる仏教法話』の翻訳もなされていて、こちらも気になります。

読売新聞6/25「本のソムリエ」で『未闘病記』紹介

読売新聞2015年6月21日(日)「本のソムリエ」で笙野頼子『未闘病記』が紹介されていました。
読売新聞の書評コーナー・本よみうり堂の「本のソムリエ」は読者のリクエストに応じて本をお薦めしてもらえるコーナーだとか。
行く先を照らして欲しい
気がつくとこの年齢。同世代は子育て後の老化を感じているのに、今から結婚相手を必死で探すか、母や障害のある弟と共に生きていくか。不安な行く先を照らしてくれる本はありますか。(新潟県 女性 47)いわゆるミドルエイジクライシスとでもいうのでしょうか。不安な将来を指し示す本という難題に中島たい子さんが回答されています。
受難と誠心誠意戦う姿
回答 中島たい子
私も40代半ばで貴女と一度飲みに行きたいぐらい、お気持ちがわかります。最初にお薦めする本『食べて、祈って、恋をして』(武田ランダムハウスジャパン)の著者、エリザベス・ギルバートも私と同い年。彼女も人生に行き詰まり、新しい自分を見つける旅に出ます。読めば、彼女と一緒にイタリアで食べて、インドで祈って、バリで恋をした気分になれます。…が、思いきって何かやったところで人生はそう変わらないということもわかります。
希望が欲しい時は、新しいことをしたり前向きな啓蒙本に手を出したりしがちですが、実はあまり効果はなくて、そんな時はむしろ「厳しい」ものを読むほうが私はいいように思います。そこでソムリエ自身がピンチの時に棚から出す秘蔵っ子を特別に紹介します。笙野頼子『未闘病記』(講談社)は作家である著者自身が、希少な難病を患っていたことを最近になって知ったという事実を綴ったものです。難病とは知らずに不調を抱えていた時も辛かったけれど、知ったら知ったで、また厳しい。けれど病という受難と、誠心誠意闘う彼女の姿に、真の希望を私たちは見ることができます。
マーク・ボイル『ぼくはお金を使わずに生きることにした』(紀伊国屋書店)も、現代社会でお金を使わずに暮らせるかという過酷な実験に挑戦した実録です。限られた中で暮らすことの豊かさに気づけば、お金がなくても大丈夫と思えます。行く先を照らすのは、やはり自分なのかもしれません。お互い、自分を信じて生きてみましょう。行く先を照らすのは、やはり自分。なるほど、助けを借りても進むのは自分の足しかないわけです。
それと『未闘病記』は秘蔵っ子なんですね。そうでしょうとも。読むと…

講談社文芸文庫の電子書籍が期間限定値下(終了)

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講談社文芸文庫の電子書籍が値下げされています。
笙野頼子『極楽 大祭 皇帝 笙野頼子初期作品集』も794円に。
【追記:2015年7月15日で終了しました】
講談社BOOK倶楽部:『極楽・大祭・皇帝 笙野頼子初期作品集』内容紹介ページにもリンク貼っときますね。
本作は群像新人賞受賞のデビュー作「極楽」と「大祭」「皇帝」を収録した1980年代の初期短篇集。文庫版の後書き「著者から読者へ 八十年代の闇」も収録。
残念ながら文芸文庫名物の年譜や目録・解説は収録されていません。
でも著書のデビュー作がぐっとおてごろ価格で読みやすく。私もお勧めしやすくなって嬉しいです。

そして、「極楽」の群像新人賞で審査されてた藤枝静男さんの文芸文庫『悲しいだけ 欣求浄土』『田紳有楽 空気頭』も680円とお買い得になってます。

『現代小説クロニクル 1990~1994』の感想

kingさんが講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1990~1994』の感想を書かれていますよ。
日本文藝家協会編 - 現代小説クロニクル 1990-1994 後藤明生再読「十七枚の写真」笙野頼子再読「タイムスリップ・コンビナート」 - Close to the Wall
そういえば、鷺沢萌さんの収録短編よんで、90年代トレンディドラマとか学園マンガも当時そんな風だったなと懐かしく思い出しましたよ。
そして後藤明生再読「十七枚の写真」と笙野頼子再読「タイムスリップ・コンビナート」。
今読んでもとても不思議な作品で、誰とも「マグロともスーパージェッターとも分らない」存在から、海芝浦駅へ行け、といわれて、「イラッシャイヨ……」とマグロの声が聞こえて行くことにする、という無茶な展開のままに電車を乗り継いで海と東芝に挾まれた駅まで行ってしまう。もう、マグロからの声を聞いたから行かなければならないわけだ。

つまり、恋はただ「そこにあるだけの」、恋だったから。204P

そうだとすればものすごい変則的な恋愛小説だとはいえて、不可能な恋愛を描いたものでもあるということなら、『硝子生命論』『水晶内制度』の系列の作品の一つ、ということなんだろうか。マグロの目玉、海、というキーイメージは、確かに、そうかも知れない。なるほど。私は新シリーズ小説神変理層夢経の荒神っぽいかなーと思いました。
なぜかというと、この本の「タイムスリップ・コンビナート」の底本は河出文庫『笙野頼子三冠小説集』(2007年)なのですが、著者あとがきp250にこうありまして。
例えば、「タイムスリップ・コンビナート」に出てくるマグロ、当時はわけの判らない恋愛めいた感じ、という意識だったのだが、今はこれを近代が覆い隠してしまった宗教的感情のあらわれと考えている。マグロは神仏なのだと。当時の私はマグロと主人公の恋について、「源氏物語の姫君が景色に恋をしているような恋愛をする」と捉えていた。しかし今となっては解釈が違う。「宗教的感情を伴う自我が、自らの感情を対象化し、神をつくりだす、姫君はそのような経済的、宗教的背景の元で景色に恋をしたのだ」という事になる。要するに源氏物語の作者は唯物史観など知らなくても使わなくても、心と言葉を使って、それも仏教的無常観を以ってマルクス主義が感知できぬ部分を書いていたと思うのである。飛躍の面白さ、感…

『未闘病記』がKindle50%pt還元セールに

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Kindle最大50%ポイント還元セールで、笙野頼子『未闘病記』が50%pt還元対象(783pt)になってました。

Amazon電書セールは明日6/1で終了らしいので、狙ってた方はこのチャンスをお見逃しなく!
森茉莉『甘い蜜の部屋(上) (ちくま文庫)』なども50%pt還元。oh、こんなに広範囲のセールとは思ってなくてチェックしてなかったよ。おしらせがおそくなってすみません。
創元推理文庫ラヴクラフト全集第1〜7巻も50%pt還元対象なんだ。
奥泉光『東京自叙伝』ほか、伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』、円城塔さんの文庫三崎亜記さんの集英社文庫もだ。

『現代小説クロニクル 1990~1994』4/10発行

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講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1990~1994』を頂きました。
笙野頼子さんのサイン入りですよ!ありがとうございます!嬉しいから表紙画像アップ。
「現代小説クロニクル」はアンソロジー。「現代小説は40年間で如何に表現を切り拓いてきたのか」という視点で、1975年以降に発表された名作短編を5年単位で厳選する全8巻シリーズ。
4月10日に発売された『現代小説クロニクル 1990~1994』で4巻目です。281ページ。
編集委員は川村湊・佐伯一麦・永江朗・林真理子・湯川豊(日本文藝家協会編)。
目次
「フィヨルドの鯨」大庭みな子
「ティーンエイジ・サマー」鷺沢萌
「晩年の子供」山田詠美
「夕陽の河岸」安岡章太郎
「七夕」石牟礼道子
「十七枚の写真」後藤明生
「セミの追憶」古山高麗雄
「光とゼラチンのライプチッヒ」多和田葉子
「犬を焼く」中沢けい
「タイムスリップ・コンビナート」笙野頼子
巻末エッセイ「「光とゼラチンのライプチッヒ」を書いた頃のこと」多和田葉子
解説:川村湊
作者紹介現代小説クロニクルシリーズはエッセイが一本収録されており、本作は多和田葉子さん。
解説の笙野さん部分は「型破りの超私小説」と。
笙野頼子は、デビューそのものは、一九八一年(「極楽」で群像新人文学賞)と早いが、十年近くの雌伏の末、一九九一年に「なにもしてない」で野間文芸新人賞、一九九四年に「二百回忌」で三島由紀夫賞、同年、「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞を受賞して、いわゆる”大ブレイク”することになる。マジック・リアリズム的な手法や型破りの超私小説、論争的なモデル小説と、新機軸の作品世界を押し広げながら、果敢に純文学の前衛であり続けようとする姿勢は、まさに独自な文学空間を作り上げているといえる。
「タイムスリップ・コンビナート」は、東京湾岸の鉄道の盲腸線の最終駅まで行ってみるという散策小説ともいえるものだが、その歩行の末に、海のなかへ消えてしまうというような線路が、コンビナート風景とあいまって、シュールレアリスム的な近未来の光景と見えてしまうということを否定できないのである。p274海芝浦駅は一度行ったことありますが、あの場所と風景自体がシュールですからねー。

Close to the Wallに感想が掲載されています。日本文藝家協会編 - 現代小説クロニクル 1990-1994…

『現代小説クロニクル 1990~1994』に「タイムスリップ・コンビナート」収録

04月10日発売の講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1990~1994』に笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」が収録されています。
『現代小説クロニクル 1990~1994』講談社文芸文庫|講談社BOOK倶楽部
公式サイトによると底本は河出文庫『笙野頼子三冠小説集』。
他の作家さんの収録作は以下のとおり。
「フィヨルドの鯨」大庭みな子
「ティーンエイジ・サマー」鷺沢萌
「晩年の子供」山田詠美
「夕陽の河岸」安岡章太郎
「七夕」石牟礼道子
「十七枚の写真」後藤明生
「セミの追憶」古山高麗雄
「光とゼラチンのライプチッヒ」多和田葉子
「犬を焼く」中沢けい
何度みても豪華なメンバーですね。Amazonでも販売開始されています

御誕生日おめでとうございます

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本日、笙野頼子さんの誕生日です。おめでとうございます!
末永くお元気であられますようお祈り申し上げます。

あわせて、猫の日ケーキがかわいすぎるブログお茶の時間にしましょうか-キャロ&ローラのちいさなまいにち-にリンク。
猫ドーナツ猫エクレア、かわいすぎて食べられないです。

「波」3月号の瀧井朝世「サイン、コサイン、偏愛レビュー」に『二百回忌』

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新潮社PR誌「波」2015年3月号連載の瀧井朝世「サイン、コサイン、偏愛レビュー」の
第60回復活&重版希望<新潮文庫編>で、笙野頼子『二百回忌』が紹介されました。
普段は発売中の本を紹介するコーナーがキリ番記念企画で入手困難本を紹介されています。
今号は新潮文庫しばりで以下の三冊を選ばれたそうです。
・イアン・マーキュアン 『贖罪』小山太一訳
・小林恭二『日本国の逆襲』
・笙野頼子『二百回忌』
芥川賞作家の傑作集
で、版元には本当に申し訳ないのだけれど、今回は新潮文庫しばりでいくことにした。3冊目は笙野頼子『二百回忌』。表題作は三島由紀夫賞受賞作で、『笙野頼子三冠小説集』(河出文庫、他の二作は野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」と芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」)に改稿されたものが収録されているが、こちらの文庫には他の短編が入っている。笙野氏も大好きな作家で、現実のなかに時に不気味に、時に愉快に不合理が紛れ込んでいく作風が魅力。文庫のカバー裏に「日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮」とあり、こちらも深く深く首肯。
表題作は二百回忌の法事で、甦った祖先と親族たちとの大宴会が催される。「大地の黴」はが十歳の頃に拾った骨が入った壺にまつわる話で、「アケボノノ帯」は女の子が排泄の神と化する女の子の話を描く女が登場。「ふるえるふるさと」は、故郷に帰省中に子供に戻ってしまった語り手が、過去を思い出す。故郷や家、家族に対する愛憎が垣間見えるこの作品集を、20代で自分をクロスさせて読めたのはよい体験だった。こちらも手軽な文庫で、多くの人に読み継がれていってよい一冊だ。私も『二百回忌』大好きなので、まったく同感同感です。収録作の「アケボノノ帯」は、『硝子生命論』や『水晶内制度』とリンクする(要素があると思う)短編ですので、皆さんに読んでいただきたい。これが一番好きだというファンもいるんですよ。
なのに絶版な上、電子書籍化してないんですよね。
新潮社つながりで『渋谷色浅川』も一緒に早くKindle化して欲しいです!(電子の本でも感電しないし)。
ちなみに、瀧井朝世さんはtwitterされているんですよ。
書きました~RT @Shincho_Bungei 「波」3月号、瀧井朝世さんの「サイン、コサイン、偏愛レビュー」では「復刊&重版希望〈新潮文庫編〉」と題し、『…

『現代小説クロニクル 1990~1994』04/11発売予定

講談社文芸文庫アンソロジー『現代小説クロニクル 1990~1994』に笙野頼子さんの小説が収録される予定です。
このアンソロジーは、「現代小説は40年間で如何に表現を切り拓いてきたのか」という視点で、1975年以降に発表された名作を5年単位で厳選する全8巻シリーズ。
第四弾の「1990~1994」は04月11日(土)発売予定。
もうAmazonで予約ページがありました。
現代小説クロニクル 1990~1994 日本文藝家協会編
収録作家さんは、多和田葉子・山田詠美・笙野頼子・石牟礼道子・中沢けい・大庭みな子・安岡章太郎・鷺沢 萠。
さすがそうそうたるメンバーですね。いったいどんな短編が選ばれるのか楽しみです。

『金毘羅』『笙野頼子三冠小説集』Kindle化

笙野頼子『金毘羅』『笙野頼子三冠小説集』の電子書籍がAmazonで配信されました。
紀伊国屋にも『金毘羅』『笙野頼子三冠小説集』が同時配信。
これでKindleもiPadもandroid端末もすべて笙野頼子さんの電子書籍を全巻読めるようになりました。すばらしい!
「三冠小説集」は野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」、三島由紀夫賞受賞作「二百回忌」、芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」と文庫版あとがきを収録。1990年代の短編集です。
【追記】
電子版後書き「さらなまら、これならば、百年残ります?」が収録されていました。書かれた日付は2013年6月1日。
河出書房新社の電子書籍『硝子生命論』、『レストレス・ドリーム』、『母の発達』
『説教師カニバットと百人の危ない美女』、『説教師タコグルメと百人の「普通」の男』、
『片付けない作家と西の天狗』、『愛別外猫雑記』、
『海底八幡宮』、『人の道御三神といろはにブロガーズ』の解説と新人賞三冠王の近況が書かれています。
『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』の訂正も。
「『絶叫師タコグルメ』誤植も著者校漏れも本当は直したい、しかし紙の文庫はなかなか出ないので、三箇所だけ、訂正させてください。 
P170 四行目 「呟い」 を「文に混ぜようとし」に。 
同ページ 七行目 行頭へ「同時に」を補う。 
同ページ 同行  「が」を「も」に。 
あああ、なおしたいなおしたいもっとなおしたい。他にこの電子本をオンデマンド印刷に繋げてほしいです。いろいろ残念。」no.3298
『レストレス・ドリーム』の解説文↓には共感の嵐です。
「私はひとりでいる時、女ですらない。そして私にとってはそここそがまさに女の本質なのだ。私という女は、自分に帰りたい。それはすべての社会主義にも起こった事なのでは? 人は自分を持っている。持ってないという人は誰かの自我を押しつぶしている。」no.3237
金毘羅』の電子版には書き下ろしの後書き「深海族よ永遠に」が収録されているんですよ。文庫版のあとがきも。
解説は両方とも収録されていません。残念。

群像2015年3月号伊藤氏貴の『猫キャンパス荒神』書評掲載

2月6日発売「群像」2015年3月号に笙野頼子『猫キャンパス荒神』の書評が掲載されました。
「群像」公式サイト2015年3月号もくじ

〈書評〉伊藤氏貴「「私」という根(リゾーム)の神の変幻」
北千葉の一軒家に住まいする女性作家のところに居つく幾柱もの神々の戯れ。ならばうちの神さんとも顔見知りかもしれない、とふと思った。からはじまり、天孫系の神々を中央集権というツリー状の序列の幹に例え、荒神たちを年月を経るうちに変容に変容を重ね、分裂し、本体がなにかもわからなくなるようなリゾーム状の存在である。とする。
本書に冠せられた「理層夢」とは、この神のありようでもあり、本書の構成でもあり、またなにより作者の考える「私」の真の姿でもある。(中略)リゾームとは根茎、ドゥルーズによれば「生成する異質性」、はじまりもおわりも中心もなく交差し、差異を生みだしつつ変化するものの謂いだが、さて日本の神々はまさしくこのような存在だった。ちなみに本書は、(そもそも小説神変理層夢経シリーズは)ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』を援用しており、リゾームは『千のプラトー』由来の考えです。ツリー状やアレンジメントも。
この本は、「小説神変理層夢経2」と銘打たれているように、続編であり、また笙野頼子のこれまでの他の作品と照合することではじめて見えてくるさまざまな側面をもっているのだが、そのことはここでは言わない。むしろ、これまでの作品を読んでおらずとも十分に楽しめるということが、本書にとって最重要のポイントだ。本書の構造もまたリゾームなのであり、(中略)全六章は順に笙野頼子、若宮にに様談、人の道神研究者岩倉お地蔵まとめ、沢野千本作、イザ・ナビ童女、ふたたび沢野千本作、とそれぞれ書き手が異なっている。つまりこれは、一つの流れる物語ではなく、あるいは一つの物語をその登場人物が多方面から語るということですらなく、異なる位相からの視点と異なる語り口とで織りなされるカーニヴァルなのである。なるほど。これまでの笙野小説も単体で楽しめるものながら、他の作品とリンクしています。根っこでつながっている形といえますね。
笙野は近年ポストモダン派から評判の悪い「私」≒内面を信じてやまないが、しかしこの「私」は決して西洋近代的アイデンティティーではない。そのような不変の中心としての自己同一性ではなく、リゾームのように変化し、部分であり…

『猫キャンパス荒神』感想リンク集

今回も『小説神変理層夢経2 猫文学機械品 猫キャンパス荒神』の感想が書かれた記事を紹介です。

⭐︎ Close to the Wall
雑誌掲載時と比較しつつ本作の経緯と感想をかかれています。
そうそう、けっこう加筆されてるんですよね。
次作は「猫キッチン荒神」を予定、「だいにっほん、いかふぇみうんざり考」も書きたいと。楽しみですね!

⭐︎ 馬場秀和ブログ
本作を引用しつつ経緯と感想をまとめています。これが発売から数日でアップされるという早業。
『猫キャンパス荒神』(笙野頼子)。「大きいうすら馬鹿な糞権力の下、最低の世界を人は生きている。幸福になる事は復讐である、怒りを忘れぬことは未来への道である」。伴侶猫との別れ。書く「機械」と化した作家はおりてくる「声」をアレンジメントする。過去の作品を再構築する驚異の猫文学機械品。— 馬場秀和 (@babahidekazu) 2014, 12月 27

⭐︎ phantasmagoria
本作のあらすじと感想をまとめています。筋をまとめるのも大変なのにわかりやすく説明されててすごい。
講師としての彼女は公人であり、学生という他者と関わるために作り上げた、外向きの、「教える」用の新たな人格なのかもしれない。けれどそれだって結局「もうひとりの彼女」、その内面からわき出ずるもうひとりの自分なのだと思う。喪失を経て生まれた(生まざるを得なかった)もうひとりの自分という存在は、今後の「語り直し」にも大きく影響してくるのだろう。喪失、病、荒神、そして新たなる自分――新しく見えてきたもの。たしかに、伴侶猫ドーラの喪失からうまれた新たな自分(沢野千本)ともいえますね。なるほど。

ブクログ『猫キャンパス荒神』の感想
読書メーター『猫キャンパス荒神』感想

それにしても『猫キャンパス荒神』は装丁が華やかですね。
まるで本編の荒神が炎の中から生み出される場面のような、鮮やかなオレンジ色。
本をひらくと淡い灰色で、扉は白に銀色の印刷に栞は黒。まるで喪に服し、一枚の紙になった(主人公の)心のよう。
登場する神々の賑やかな語りと、人間の静謐な語りという対照的なイメージを見事に一冊に装幀していて素晴らしい。

あと、本作でドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』とドゥルーズ『批評と臨床』を参考にしてると書かれてますが、文庫版が先月kindle化してた。知らなかった。

2014年を振り返る

2013年は電子書籍化ラッシュでした。翌1月で笙野頼子さんのほとんどの小説は電子化されました。(あとは『金毘羅』『笙野頼子三冠小説集』のkindle化だけ。みなさんKindle化リクエストボタンぽちっと宜しくお願いします。)

2014年は「未闘病記」の年でした。
3月4月に雑誌発表、7月31日に書籍化。
8月は群像に対談掲載、9月にサイン本を書店にポップ付で販売。パネルでおすすめする店もありました。
毎日・朝日新聞や週刊読書人や「ダ・ヴィンチ」などに取り上げられ、本は4刷まで増刷、9月末には電子書籍化。
そして、野間文芸賞を受賞されました。
年末年始には、2014年ベスト本の一冊として、女性自身・週刊新潮・週刊読書人・日本経済新聞で紹介。すごいっす。

さらにその勢いで『猫キャンパス荒神』が12月23日に出版されました。
2012年雑誌掲載から長らく書籍化されなかった新シリーズ2作目がようやく出て嬉しいです。よかった。

一方悲しいニュースも。稲葉真弓さんが逝去されました。
そのご遺族が校正された単行本未収録エッセイ集が出版されています。
稲葉真弓『少し湿った場所』幻戯書房
ボニーはその遺族の方々に大切にされているそうですよ。

2014年ベスト本に『未闘病記』

遅ればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。
今年も笙野頼子さんの情報をブログにアップしていきますので、引き続きお付き合いくださいますよう宜しくお願い申し上げます。

昨年掲載できなかった情報からまとめていきますよー。
2014年12月22日発売の「女性自身」2015年1月6日・13日合併号の「新進文芸評論家&連載陣が選ぶ・2014年BEST本」で文芸評論家の田中弥生さんが笙野頼子『未闘病記』を紹介しています。
http://zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&qword=%E5%A5%B3%E6%80%A7%E8%87%AA%E8%BA%AB&qosdate=2014-12-22&qpage=5

12月25日発売の「週刊新潮」2015年1月1・8日号の「年末年始お薦めガイド」私が選んだ「ベスト5」Book Selectionで、中江有里さんが笙野頼子『未闘病記』を選ばれています。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/

日本経済新聞2014年12月28日(日)朝刊 「回顧2014 私の3冊」特集で清水良典さんが『未闘病記』を三冊のうちの一つに挙げられています。
小説 日本の浅薄さ映す批評性  文芸評論家 清水良典
 笙野頼子の『未闘病記』は、著者の長年の身体的不調がある難病によるものだったことを知った経緯と、その後の治療でもたらされた劇的な変化の記録がベースになっている。しかしたんなる闘病記にとどまらず、本書は自らのこれまでの文学を再解釈し、よりダイナミックに語り直す試みになっている。身体という他者の発見からなる稀有(けう)な作品といえよう。
東京新聞12月24日夕刊文化面<大波小波>で『未闘病記』野間文芸賞受賞について書かれてます。中日新聞プラスで記事をよめます。