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『会いに行って』ミルキィ・イソベさんの装幀裏話公開

講談社がエッセイ連載してるサイト「tree」があるそうで。 プロのデザイナーが「本」のデザインについて語るコーナー『装幀のあとがき』にて、ミルキィ・イソベさんが笙野頼子『会いに行って 静流藤娘紀行』の制作裏話を公開されています。 装丁のあとがき|その装幀から、人間関係が浮かび立ってくるように『会いに行って』/ミルキィ・イソベ カバーデザインのラフ案5つ タイトルのタイポグラフィの意味 藤色やめ、藤枝静男の生地の海と空の青をメインに 初版の花布としおりの色が指定と違う仕上がりに 藤枝静男だけでなく、関わる人達の交流から完成した小説だから「こうした人々との出会い触れ合いによる心情をも感じさせる文字のかたち、格式と優しさとを湛えたタイポグラフィで構成することにした。」と言うのが印象深い。 確かに黒文字なのに柔らかなデザイン。著者の語る師匠像とも通じるものがあります。 ラフでは藤色にだったのも面白いですね。 最後に「しおりが青のつもりで開いてくださいね」とありますが、これは読者の想像力が試されてる。なんとか青く思えるようにがんばってみますw

講談社PR誌「本」7月号にエッセイ「「会いに行って」書いた」掲載

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講談社のPR誌「本」2020年7月号に、笙野頼子さんのエッセイ「「会いに行って」書いた」が掲載されています。見開き2ページ。 (追記) 講談社BOOK倶楽部の今日のおすすめ(7/11)で、エッセイ全文が公開されました。 藤枝静男の弟子が神に捧げる「師匠説」、『会いに行って』著者エッセイ|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部 6/16に出たばかりの新刊、藤枝静男の私小説を語る私小説『 会いに行って 静流藤娘紀行 』について語ってます。タイトルの短さがすでに藤枝風。 内容もいつもの「「Let me entertain you」のサービス精神を忘れない書きぶり」(byブレイディみかこさん)とは、出だしから違います。  この大切な記憶を何度書き直しても、或いは何度語っても所詮現実ではこう言うしかない。彼には「一度しか会っていない」、二度目に会いに行った時、私の、心の師匠はもういなかった。お骨になっていた。お葬式の日の藤枝の緑は濃く、浜松の空は高く澄んで青く明るかった。用宗の海も澄んで青く、色は淡いけれどこれは銀色を浮かべ、光を飲み干したブルーだった。私はこの輝く青と青に吸い取られた。  五十海の岳叟寺にたどり着いて、お骨になったその姿をみた時、私の号泣は始まってしまった。まさか自分がこんなに泣くとは思っ ていなかった。でもどうしても、のどがまっぷたつになった。つまり生涯、これは忘れられないこと。彼は昔、私のために号泣してくれたのだ。その思い掛けぬ擁護が、私の人生を変えた。 群像新人文学賞で彼が激賞し論争し号泣してくれたこと、作者を「五十代の男性」と思い込んでいたこと、師匠に見出された事が何度も助けになったこと。十年後やっと本がでた時には入院され、会うことは迷惑になっていたことなど綴られていきます。 そしてやっと会いに行ったら、......  儀式が終わると泣きながら帰りの電車に乗った。藤枝駅から浜松駅まで来た時泣き止んでいた。独特の青い空を貪るように見た。  あの日泣いていると全身からありもしない彼の記憶が生まれて 「蘇え」った。彼のいた風景、湿度、知っている人々や代々のお寺、 海、空、山、大木、大地、仏像、その土地の精霊、それらをすべて 私は受け取って帰った。しかも本当に「会ってきた」感触がどこかにあった。今思えば上の、病院を継いだお嬢さんが師匠とそっくりだった。外科医的

『会いに行って 静流藤娘紀行』感想まとめ

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笙野頼子『 会いに行って 静流藤娘紀行 』が6月16日刊行されました。 電子書籍は17日より配信しています。  記事内もくじ   ・書籍情報  ・内容  ・ 感想リンク集  ・ 書評  ・ 参考文献ともくじ  ・ 装幀の話 『会いに行って 静流藤娘紀行』|講談社BOOK倶楽部 初出:「群像」2019年5月号、7月号、9月号、11月号、12月号。 装画:青木鐵夫さんの「ベンチ」( 藤枝静男 年譜・著作年表 の方。 笙野頼子著書一覧 まで作成) 表紙はがき:日本近代文学館蔵 装幀:ミルキィ・イソベ+安倍晴美[ステュディオ・パラボリカ]。 初版のしおりと花布、装幀者の指定と違ってしまったそうです。 (参照: 近況ご報告 新刊についてのお知らせいろいろ | 笙野頼子資料室 装丁のあとがき|『会いに行って』/ミルキィ・イソベ|tree ) 本書は群像の連作「会いに行ってーー静流藤娘紀行」全5回をまとめたもの。 作中で言及される追悼文と文芸文庫『田紳有楽』の紹介記事↓も収録されています。 ・「会いに行った──藤枝静男」(「群像」1993年7月号) ・「二十六年前会った「神様」」(「朝日新聞」2007年2月25日) 私小説を徹底し新境地を開いた小説家・藤枝静男について、笙野さんが「私小説」ならぬ「師匠説」を展開していく本作。 なぜ藤枝氏なのか。それは群像新人賞選考でデビュー作「極楽」を激推しされたからなのです。まさに文学の師。 作中、我が文学の師、 師匠の生涯と彼の「私小説」について、追ってゆく予定である。さて、ここで造語して言う。今から書くものを私は、 師匠説と呼ぶ。その上でこの、師匠説を書いてゆく。というのも師匠のような「私小説」を私は書けないから。そこで今回は彼に寄生して書く。 師匠説、それは要するに作家論には とても足りない自説に過ぎないものだ。でも、自分の師匠について書いたフィクションにして、論説である。ちなみにそれはけして大きい説ではなく、小さい説ばかりを綴るのみならず、そのすべてが、自説、私説に過ぎない。要は私の師匠についての、私的すぎる小説。さらに正確に言えば私淑師匠小説、というべきものである。 本作は「師匠」のテキストに寄せて「私的すぎる小説」は進みます。 藤枝の経歴、師匠との出会い。『志賀直哉・天皇・中野重治』か

笙野頼子エッセイ「近況ご報告 新刊についてのお知らせいろいろ」資料室に掲載

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笙野頼子さんのお知らせを6/15より資料室に掲載しています。 「近況ご報告 新刊についてのお知らせいろいろ」 https://restless.adrgm.com/text/kinkyo20200615.html  ・『 会いに行って 静流藤娘紀行 』見本ができた  ・装丁:ミルキィ・イソベさん、装画:青木鐡夫さん  ・本書は実は表紙にサプライスが  ・手違いでしおり紐と花布が、装丁者の指定と違う色で製造された  ・三部だけ本来の装丁の製本、その写真を追加予定 「 藤枝静男 年譜・著作年表 」運営の青木鐡夫さんの装画だったんですね。これは完璧だ!と思ったら…。 しかし残念なご報告が一つ、さる手違いにより、 花布とスピンの色がミルキィさんの指定と違っているのです 「お知らせばかりの近況報告」では https://restless.adrgm.com/text/kinkyo202005.html 通常は本が出来上がってから会社へ書きに行くのですが 今回はここもコロナ対応 製本前の見返しを家に送ってきて先に私がサインしてしまうのだそうです(その後製本) すでに担当は在宅勤務、校閲から何から普段と違います ともかく感染を防ぐため接触を避けて作りました とありましたが、まさか新型コロナ対策の新しい生活様式で装幀に手違いが生じるとはorz

『会いに行って』電子版 6/17配信

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笙野頼子『 会いに行って 静流藤娘紀行 』電子書籍版に書影がアップされています。 セピアなイラストに水色の帯がきれいですね。 電子版は6月17日から配信予定、通販ショップで予約開始されています。¥1600(税抜) 。 本と同時発売だよ!