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GINZA9月号ブックワームの部屋に「猫キッチン荒神」

20周年を迎える東京発モード誌「GINZA」2017年9月号の、木村綾子さんのブックワームの部屋 今月読みたい珠玉の3冊に笙野頼子『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』が紹介されました。
あわせて、戌井昭人『ゼンマイ』、佐久間裕美子『ピンヒールははかない』を紹介。
ginzamag.com/archives/30453
公式サイトにも全文公開されており、ネットで読めます。ありがたい。
〈あのなあ、あんたさんら、たかが時代を恐れて、黙っていて、どうするんさ。〉S倉市の高台にある家の台所から、猫荒神と著者の掛け合いによって語られるのは、〈「平穏」の中に隠された国難の有り様〉。TPPへの危機意識、右傾化する政権、難病患者を逼迫させる薬価上昇、家差別……。〈蓄えよ、冷凍せよ、そして資本主義から逃走せよ〉社会状況と生活とが直結する台所からの訴えに、危機迫る日本の現状があぶり出される。数行に内容をコンパクトに紹介していて素晴らしい。「千とプラトー」も押さえている所もGoodJobです。

群像9月号に木村紅美の『猫キッチン荒神』書評

群像2017年9月号に木村紅美さんの『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』書評が掲載されています。
しかも群像公式サイトに全文公開されているのです。これは読むしかない。
他者への想像力の大事さ(『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』笙野頼子)木村紅美
 昨年の七月、住民百五十人ほどの高江には、全国から動員された五百人もの機動隊が押し寄せ、座り込みテントは強制撤去、負傷者も出た。高江の人はよく「高江で起きることは、いずれ東京や全国でも起きる」と言う。本書では、人喰いはまず沖縄から丸飲みにする、と繰り返し書かれる。この国の舞台裏に巧妙に隠されてきた恐ろしいことは、今やじわりと、見えやすい場所に広がりだしている。 今の時代を小説にする難しさ、ほんの一部に集中する大きなお金のために人間が踏みにじられてゆくことへの怒り、持病である膠原病の苦しみを書きつつ、作者は、日々の生活に楽しみを見出す。ドゥルーズの相棒ガタリの概念から、リトルネロ、と名づけた冷凍庫に蓄える、好きなおかずを作る喜び、自分のリズムで居場所を確保し不安をなだめるようすには勇気づけられる。みっともなく激変する日本の現実を「スルーなしの設定で」作品に取り込もうと、初めて参加した国会前デモ、ヘイトスピーチへの抗議行動。報道されないディテールに驚き、書きたいことが次々見つかる。亡き猫のドーラが女王口調で労わってくれる空想を交え、筆は自在に飛び回る。
 萌エロキャラと戦争の問題もつながる。高学歴も継ぐべき財産も全て捨てて嫁入りした「母」が、作者の子供時代、大変な手間をかけ作るご馳走の数々、それらのならぶ食卓を台無しにする父の横暴さ。その寒々しい光景の裏側には、まえの戦争の傷痕と、いまに至る日本の風潮がどろりと引きずられている。これまで作者が思考してきたさまざまな要素がぶち込まれ、響きあう本書は、憤りの渦巻くカオスのようでありながら、この文学の基本であろう他者への想像力の大事さに貫かれ、誇り高く光り輝いている。まさに、政治・経済・過去・現在・未来の予想(と主人公の過去と現在)など様々な要素を盛り込みながらも、過去作よりさらにパワフル、さらに読みやすくなっていますよね。

『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』感想リンク集

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笙野頼子『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』講談社より7/31に発売されました。

講談社公式サイトのページ;『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』笙野頼子
装幀はミルキィ・イソベ+安倍晴美。裏表紙の帯はあたかも雑司ヶ谷猫軍団7匹がSNSしてるみたい。
電子書籍は9月22日より配信。Kindle版は1674円iBook版は1700円

9/27より新刊「猫キッチン荒神」に入っている読者アンケートハガキで応募すると、先着10名限定で著者謹製ギドウポストカードプレゼント。
「猫キッチン荒神」ポスカプレゼント&著者近況報告コメント
著書インタビュー・しんぶん赤旗10月8日号29面「読書のページ」欄に『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』著書インタビューが掲載されました。
赤旗日曜版10/8に「猫キッチン荒神」著者インタビュー

ブログの感想さっそく馬場さんに感想がアップされてます。
『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』(笙野頼子):馬場秀和ブログ
 ネオリベと経済搾取、性暴力と差別とヘイト、それらが絡み合って一体化して基層となっている日本の姿を書いた『ひょうすべの国』。自身の生きにくさ、猫との出会いと別れを書いた『猫道』。本書ではついにそれらが合流して、小さな「私」を離れることなく神視点で世界をとらえる「私小説」へと飛躍してゆきます。まさにまさに。ひょうすべ+猫道+金毘羅が合わさった小説です。

笙野頼子「さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神」 : phantasmagoria
ここで繰り返し語られるのは「見えなかったものが見えてくる」ということ。自身の病気を知り、ほんとうのルーツを知ったことで、過去は塗り替えられていく。これまで何度も語られてきた――もちろん本作でも――政治家たち、あるいは人喰いたちによる「見えないものはないことと同じ」「だから奪って食ってなかったことにしてもいい」というような論調。しかし作家がこうして「見えなかったものを見ようとする」ことで、隠されようとしていた欺瞞は暴けるということが証明されているのではないか。うさぎやさんの感想。なるほど、様々なエピソードに「見えなかったものが見える」という共通点があるのですね。

Instagram「笙野頼子、新刊『さあ、文学で戦争を止めよう…」
石川雅之さんのレビュー。「自分自身の病と来歴、飼…