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KindleとiBookで『ひょうすべの国』配信

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12月22日より笙野頼子『植民人喰い条約 ひょうすべの国』電子書籍版の配信始まりました。
Kindle版iBook版同時配信です。
これで電子書籍派の方も楽しめますね。書影にプラカード帯がないのがちょっと残念。

笙野頼子『ひょうすべの国』の書評まとめ

笙野頼子『ひょうすべの国』の書評が出てきてますよ。遅ればせながらまとめていきます。
『ひょうすべの国』感想リンク集はこちらへ
図書新聞図書新聞 第3282号(2016年12月10日号) 岡和田晃「〈世界内戦〉下の文芸時評」第22回『ひょうすべの国』に触れられています。
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3282
図書新聞 第3284号(2016年12月24日号) 2016年下半期読書アンケートで岡和田晃さんが『ひょうすべの国』を選ばれています。
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3284
群像2017年1月号群像2017年1月号で清水良典「現在形の「戦争」(『植民人喰い条約 ひょうすべの国』笙野頼子)」が掲載。
http://gunzo.kodansha.co.jp/48080/48148.html
「表現がすべて」の略が発端である。その「表現」とは、TPPとその黒幕であるIMFが世界に垂れ流して強制する国際企業の利益至上主義の目論見に歪んだ、言葉面だけはもっともらしい修辞体系に他ならない。広告料でマスコミを買い取られているゆえに事実が隠蔽された「表現」であり、芸術も学問も売上利益で価値が計られる「表現」である。愛すべき民話の主人公に風評被害の迷惑がかからぬよう厳重に断った上で、その「表現がすべて」すなわち「ひょうすべ」に日本が呑み込まれ、食い荒らされた末期の姿を本書は幻視するのである。ディストピアではあるものの、これは著者の長い創作史上、女性が家庭を持ち子供を育てる初の題材であり、しかもセックスから切り離された稀有な「女の一生」である。同時に日本が「にっほん」となり、さらに「だいにっほん」へとグロテスクに変容し、ついにウラミズモに占領されるという未来史は、今後の壮大な「にっほん」サーガのベースとなりそうな予感を孕んでいる。「にっほん」サーガ!年代記になっていくかもしれない。確かに!
・私小説ではなく埴輪家の衰亡記
・セックス抜きの「女の一生」を描く
・だいにっほん三部作系統の話のバリエーション
と書かれているところが印象的でした。
週刊ポスト2017年1月1・6日号…

『ひょうすべの国』感想リンク集

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笙野頼子『植民人喰い条約 ひょうすべの国』11月26日に発売されました。
デザインかっこいい。装幀はミルキィ・イソベ。クールなカバー写真は山本デイジー。
電子書籍版は12月22日より配信。Kindle版iBook版

本作は「文藝」に掲載されたひょうすべシリーズ「ひょうすべの嫁」「ひょうすべの菓子」「ひょうすべの約束」「おばあちゃんのシラバス」「人喰いの国」を再構成し、書き下ろしと短編「姫と戦争と「庭の雀」 」(「新潮」2004年6月号)を収録しています。
「だいにっほん」三部作(注)の前日譚であり、2016年6月にTPPに批准した架空の「にっほん(だいにっほん)」を描いたTPP批判ディストピア小説です。
書き下ろしの「ご挨拶」に大きい帯の理由がありました。
書店の皆様、そう、稀にこの本を置いてくださる書店の皆様、たとえ一冊しか取り寄せなかったとしても、せめて、その一冊を書店の台に、立てて置いてください。プラカと思って……。
TPPが国民皆保険を潰す危険性さえ、中央の大きいメディアでは堂々と言えない。言えるのはただ、本の中だけ、故に帯がプラカードと思ってデザインしてます。
これは、書店デモ、です。なるほど。デモに使われるプラカードの意味があったのですね。
見かけた本屋では背を見せて並べてあるだけで、台には置いてなかったです。せっかくなのでぜひ表紙が見えるように置いて欲しいですね。
『ひょうすべの国』もくじと内容紹介ページ
『ひょうすべの国』の5名の帯コメントはこちら
『ひょうすべの国』発売記念作者コメント2
『ひょうすべの国』発売記念作者コメント1
本作の資料は堤未果『沈みゆく大国アメリカ』、中野剛志『TPP亡国論』、山田正彦『TPP秘密交渉の正体』、内田聖子@uchidashokoのツイート等だとか。
インタビュー・『ひょうすべの国』著者インタビュー「人喰い妖怪「ひょうすべ」TPP発効後の惨状描く」(しんぶん赤旗2017年1月30日)
東京新聞:文学で戦争止めたい 恐るべき未来 新作で描く 笙野頼子さん(作家):土曜訪問(TOKYO Web)(東京新聞2017年2月18日(土)夕刊)
ブログの感想馬場秀和ブログの解説が超力作ですよ。
『ひょうすべの国』笙野頼子--馬場秀和ブログ
これさえ読めば単行本の内容と収録作の構成とあらすじ、既刊との関連や経緯すべて把握…

『ひょうすべの国』発売・作者コメント公開

新刊『植民人喰い条約 ひょうすべの国』発売によせて、11月27日にTwitter河出書房新社 文藝(@Kawade_bungei)アカウントで笙野頼子さんのコメントが紹介されました。
【いよいよ発売!】おまたせしました、笙野頼子の最新長篇『ひょうすべの国』がいよいよ発売されました!!単行本化に寄せて、笙野さんから新たにコメントをもらいましたので紹介します!
“TPP反対!戦争法案以上の強行採決、TPP反対!トランプがどうでもまだ流れてもいない!TPP反対!流れても条件や名称を変え襲来、国内にも「潜伏」!あの批准は通商外交上の奴隷基準宣言。関連法案も悪用流用可。それは日本の無料植民地化。土地、資源略奪に国民皆殺、沖縄壊滅。
作者は2013年初頭から連作で警告を試み会期中刊行。小説中のTPPは今年6月発効し「地獄が始まった」。特区、規制緩和、民営化で生活はどん底、世相も荒廃。外資に略奪されたお金は戻らない!今の貧乏の原因は郵便局民営化と労働の派遣化。隠れTPPで今からは農協と国民保険を喰われる!
「強い農業とよい患者」こそ日本を殺す!また国会で首相が「法的拘束力」なしと答弁したサイドレターは、TPPに伴うISD(S)裁判に使われ、国民を煮るための鍋釜となる。敵は○○人とデマを流すヘイト。だが本当の敵は地球規模の資本、国境なき医師団や世界の病人もTPPで地獄。
腑抜け隠蔽の大新聞政治部、放送局よ!文学が今この売国と戦前を「報道」しよう。大災害に付け込み国を民を喰うTPP政権、総取っ替えしなければ日本は沈没!国産卵から国宝憲法まで、踏み潰される。景気より命、安い肉喰って子供喰われるな!日本取られるな!日本語消さないで!”
https://twitter.com/Kawade_bungei/status/802794723005997056
https://twitter.com/Kawade_bungei/status/802794774235258880
https://twitter.com/Kawade_bungei/status/802794879382228993
https://twitter.com/Kawade_bungei/status/802794924437434368
https://twitter.com/Kawade_bungei/status/80279…

11/26発売の笙野頼子『ひょうすべの国』の帯コメント

11月26日発売の笙野頼子『ひょうすべの国』に寄せたコメントがTwitter 文藝@Kawade_bungeiで紹介されました。本の帯に掲載されるそうです。
文芸評論家の安藤礼二さんより
“現実の「人喰いの国」日本を、文学的想像力が転覆する。時代の幻視者にして予言者の語りの魔術に戦慄する。”作家の小山田浩子さんより
“読中読後の怖気をぜひ心身に棲みつかせて欲しい。知らない感じない興味ない覚えてない、それが彼ら(ひょうすべ)を肥え太らす好餌となる。”作家の北原みのりさんより
“この国で女であることは地獄を生きることなのだと思う。だから、作家と対話するように読んだ。命、取り返すために。”ライターの武田砂鉄さんより
“私たち奴隷が「奴隷かも」と気付くためのラストチャンスですよ。”作家の松田青子さんより
“ディストピアなんて、ただの現実のことだ。私もウラミズモに移民申請したい。今すぐ。”oh,ウラミズモ移民希望なんですね。あっちも生きづらそうですけどね。
明日11月25日には笙野さんの新コメントがTwitter 文藝@Kawade_bungeiで公開されるそうですよ。

笙野頼子『ひょうすべの国』26日発売!書影ともくじ公開

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笙野頼子『植民人喰い条約 ひょうすべの国』の書影ともくじが紹介ページに掲載されています。

モノクロ主体で超クールな表紙!
でも河出紹介ページの発売日が11月29日にかわってます。一週間延期に。
追記:書店は11月26日発売。都内主要書店は25日夕方から買えるそうです。
サイトの日付は沖縄や北海道などの書店販売を想定して遅めに書いてあるとか。勘違いしてすみません。

【目次】
植民人喰い条約 ひょうすべの国
ご挨拶
1 こんにちは、これが、ひょうすべ、です
――TPP批准後、その施政方針のための記者会見
2 ひょうすべの約束
3 おばあちゃんのシラバス
4 人喰いの国
5 埴輪家の遺産
6ひょうすべの菓子
7 ひょうすべの嫁
後書き
姫と戦争と「庭の雀」もくじでは文藝掲載の収録作に加え、「こんにちは、これが、ひょうすべ、です」と「埴輪家の遺産」の二つが新しく書き下ろされている感じです。やはり「人喰いの国」の後は続きがあったんですね。
「姫と戦争と「庭の雀」」は「新潮」2004年6月号掲載された短編です。今までアンソロジーに収録されてましたが、単行本は未収録だったので嬉しいですね。

笙野頼子の新刊『ひょうすべの国』11/24発売

笙野頼子『植民人喰い条約 ひょうすべの国』出版社の紹介ページができてます。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309025209/
あらすじもバッチリのってます。11月24日に河出書房新社より発売予定。(追記:11月26日に延期)

アマゾンにもサブタイトルに内容紹介とあらすじが掲載。
ひょうすべの国――植民人喰い条約
今までで一番詳細じゃない?
【あらすじ】
「NPOひょうげんがすべて(ひょうすべ)」と「知と感性の野党労働者党(知感野郎)」が政権を握った国・にっほん。そこでは人殺しの〈自由〉、弱者を殴る〈平等〉、餓死と痴漢強姦の偏りなき〈博愛〉がまかり通っていた――。
千葉県S倉市に住む埴輪詩歌は、「指導教授」でもある最愛の祖母・豊子をひょうすべに殺される。母が営む花屋は世界企業に潰され、父は「少女遊郭」に入り浸り死んだ。やむなく詩歌は少女遊郭の「ヤリテ」見習いに入るがたちまち馘、そこで出会った夫も、人喰いの餌食に。時は流れ、権力者からの求愛、世界を揺るがす手紙がもたらされたのだが……詩歌の〈生〉とは何であったのか!? 地に堕ちた自由と民主主義を問い直す、予言的物語。文藝冬号に掲載の中編小説「人喰いの国」では「世界を揺るがす手紙がもたらされた」で終わりでした。
あらすじで「のだが……」となっているのは、本では続きがあると期待していいのでしょうか?

「文藝」2016年冬号に中編「人喰いの国」

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10月7日発売の「文藝」2016年冬号に、笙野頼子さんの中編小説「人喰いの国」が掲載されています。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309979052/
本作は「ひょうすべの嫁」「ひょうすべの菓子」「ひょうすべの約束」「おばあちゃんのシラバス」に続くひょうすべシリーズ五作目で完結編。150枚。

埴輪詩歌(あゆむ)が火星人落語家の木綿造と出会い、木綿助といぶきを育てるなか国名がだいにっほんに改名され、兄がみたこに入会し妹は見習いになって…「だいにっほん三部作」をお読みの方はご存知の展開になっていきます。
前作はにっほんでの持病持ちの生きづらさを描いていましたが、本作は女性の話。
近未来国にっほんがTPPに批准してIMFの経済政策でグローバル企業に搾取される社会となり、庶民は少女以外就職できず、自営業はフランチャイズでなければ難しく、謎の特許料に苦しむ羽目に。火星人は遊郭で遊女または職員ヤリテとして働くしかない状況に。
では富裕層やエリート女性なら安泰かと思えば、中年になり若さを失うと、ひょうすべと共に女性を虐める側にまわらないと生き残れないため、イカフェミ化するという。
「だいにっほん三部作」では描かれなかった火星人少女遊郭のブラックすぎる悲惨労働、ヤリテ女性も加わってエセ平等主義による女性への過酷な抑圧も描かれます。ネットで話題になった時事ネタもちょいちょい入ってたり。

馬場秀和ブログにさっそく感想がアップされています。素早い!
『人喰いの国(「文藝」2016年冬号掲載)』(笙野頼子)
季刊「未来」に後藤明生論を連載中の東條慎生さんがあらすじ&感想書かれています。
笙野頼子「人喰いの国」 Close to the Wall
内容が端的にまとめられてわかりやすいです。

それと10月9日twitter河出書房新社の文藝アカウントで笙野頼子さんのコメントがツイートされました。
「文藝」2016年冬号掲載「人喰いの国」に寄せて、笙野頼子さんからのコメントです!
“TPP反対、悪夢のひょうすべシリーズ、最終回「人喰いの国」。4年前始めた連作の完結発表が、皮肉にもその批准を論ずる、臨時国会の最中とは。この瀬戸際も国民の多くが自国の危機を知らない!政府の悪巧み?国民無知?いいえ大本営様の「ペンのお力」!腑抜け報道と隠蔽放送の罠を抜けたい!
表…

「文藝」2016年冬季号に新作

10月7日発売の「文藝」2016年冬季号の内容が河出書房新社サイトに掲載されてます。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309979052/
笙野頼子さんの新作小説が掲載されるようです。
秋発行予定の『ひょうすべの国』に関連する作品でしょうね、おそらく。

「群像」2016年10月号「群像短編名作選」に笙野頼子「使い魔の日記」再録

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9月7日発売の文芸誌「群像」2016年10月号は群像七十周年記念号。
創刊70周年記念「群像短編名作選」として「群像」70年の中から辻原登、三浦雅士、川村湊、中条省平、堀江敏幸の意見を参考に編集部が短篇54篇をセレクト。
その中に笙野頼子「使い魔の日記」が再録されています。
初出・底本は「群像」1997年1月号掲載のもの。(短編のみ、著者コメント等はなし)
豪華な執筆陣の短編一覧は公式サイトで公開中。
それと「群像70年の短篇名作を読む」座談会、評論「「群像」70年の轍」、「群像」で辿る〈追悼〉の文学史、名物コラム「侃侃諤諤」傑作選を収録。
9月9日から電子版も配信されています。
Amazon Kindle版
apple iBook版
楽天Kobo版

座談会「群像70年の短篇名作を読む」P18上段では、川村湊さんが「使い魔の日記」に触れています。
笙野頼子の「使い魔の日記」についていえば、日本神話をおちょくっているというか、パロディー化している。それも正統的な神話ではなく、中世的、近世的、あるいは民間的な竜神とか蛇神のお使いということで、きわめて個人的な擬似神話を作り上げている。これはマルクス主義とはまったく正反対ですが、象徴天皇制の基づく国家神話なんかを飛び抜けている。メジャーな竜神とマイナー蛇神という設定など『太陽の巫女』や『レストレス・ドリーム』に通じるものがあるような。単行本『時ノアゲアシ取リ―笙野頼子窯変小説集』1999年刊に収録です。

twitterを始められたClose To The Wallの東條慎生さんが感想書かれてます。
「使い魔の日記」は神話、伝説も題材にしているけれど、ルールを破ったら殺されるとか、顔をひっくり返すだとかの不気味なイメージ、殺した罪悪感といったものが「日記」の日常的なものとして語られる、この感覚の奇妙さはまさに夢のような感触。— 東條慎生 (@inthewall81) 2016年9月12日
馬場秀和さんの感想もきてますよ。
『使い魔の日記(「群像」2016年10月号再掲)』(笙野頼子)

群像70年の歴史を辿る評論、清水良典「「群像」70年の轍」では、4章で1990年代の歴史として「純文学」論争を紹介しています。
トピックとしては、九八年七月に笙野頼子がエッセイ「三重県人が怒る時」と創作「てんたまおや知らズどっぺるげんげる」を…

「図書新聞」3267号で「おばあちゃんのシラバス」書評

「図書新聞」3267号 2016年08月13日号の岡和田晃さん連載「〈世界内戦〉下の文芸時評」第18回「優生学的な暴力に立ち向かうための声と論理」にて、笙野頼子「おばあちゃんのシラバス」(文藝2016年8月号)が取り上げられています。
今週の図書新聞
図書新聞と読書人は、コンビニのコピー機でも購入できますよ。300円入れてe-shinbun関連のボタンを押すと新聞が印刷されます。便利や。

7/31朝日新聞「政治断簡」で『だいにっほん、おんたこめいわく史』引用

2016/7/31(日)朝日新聞朝刊の政治面「政治断簡」にて笙野頼子『だいにっほん、おんたこめいわく史』が言及されていました。
(政治断簡)「私、「失敗」しないので」政治部次長・高橋純子
新聞記事の画像アップされている方も
あわせて平成28年6月1日 安倍内閣総理大臣記者会見
スピーチでは気づかないが、文書ではカギカッコをつけて、自分の都合の良いよう言葉の再定義ができるように保留しているという記事。
「論座」2008年6月号インタビューにも触れています(朝日新聞出版の雑誌でした)。
タイトルは「極私から大きく振り返って読む「だいにっほん」三部作
「文学の言葉、それは人間の肉体から発し、歴史を背負う。国家や市場経済に対抗する言語です」」でした。
「だいにっほん」三部作完結記念特集で、あわせてエッセイや短編小説も掲載されて。
そうそう『だいにっほん、おんたこめいわく史』は、
だいにっほん、ろんちくおげれつ記
だいにっほん、ろりりべしんでけ録』で完結するの三部作もの。
あと2016年秋以降に発売予定の新刊『ひょうすべの国』も「だいにっほん」ものです。

高橋純子さんは「「だまってトイレをつまらせろ」 あなたならどうする」を書かれた方ですか。
ちり紙がないからといって水に流せるティッシュ使うなど、施政者に都合のいい行動をとる必要などない、選択肢は他にあると自由な気持ちになれるコラムでした。

小山田浩子『穴』文庫版に笙野頼子の解説

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2016年8月1日発行の新潮文庫版・小山田浩子『穴』に、笙野頼子さんの解説「読んでくれてありがとう/書いてくれてありがとう」が収録されています。
本作は2014年1月に出た単行本の文庫化。
芥川賞受賞の表題作「穴」(「新潮」2013年5月号)、「いたちなく」(「新潮」2013年7月号)、その続編的単行本書下し「ゆきの宿」を収録しています。
新潮社の小山田浩子 『穴』 あらすじは。
「仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。」馬場秀和ブログであらすじを丁寧に解説されてます。
『穴』小山田浩子:馬場秀和ブログ
解説の内容も紹介。『読んでくれてありがとう/書いてくれてありがとう(小山田浩子『穴』文庫版解説)』笙野頼子
笙野さんの下宿時代のイタチ話も発掘されてます。すごい。私全然覚えてなかった。

それでですね、なぜ笙野さんが解説を担当されたかというと。
2010年新潮新人賞受賞作の「工場」で世に出た作者に、私はマジ注目した。すると好きな雑誌のインタビューで「二百回忌」という拙作を好きだと彼女は言ってくれていた。それは二百年に一度死者の蘇ってくる法事を描いたものなのだが、1994年、大昔の作。主人公はいわゆる東京遊民で、独り者の猫飼い、賃貸住まいである。しかもただ郷里でカーニバル空間を体験して帰ってくるお話。故に構造は単純、進行も三日で八十枚。が、今日……。私も文芸雑誌で好きな作家に名前を挙げられているを見た記憶があります。日常が異界にずれる形は初期の作品と共通しているかもしれません。
解説では本質的な解説、社会構造的な解説、あらすじに沿った解説の三段階が展開。
この、不況格差閉塞、震災後社会である。中に主人公は地方在住の賃労働既婚女性。なんという重圧。さて、なのに……。
この作品、生き物も時間も、声までも触れてくる。暗く陰を落とす時代において、或いは今も変わらぬ女性の困難の中で、けしてめでたくはない、だけどすべてが見渡せる混在的時間を、仕止めてきている。貴重な本物の絵を、自然の怖さ時間の豊かさをも込めて描く。それが、表題作。なるほど、確かに地方既婚女性という立…

日本慢性看護学会学術集会で講演

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7月16・17日に一橋大学一橋講堂で行われた第10回日本慢性看護学会集会の特別講演で、笙野頼子さんが「膠原病を生きぬこう-生涯の敵とともに」と題した講演をなされました。
講演の場は、日本慢性看護学会という専門的な学会の10年の節目にあたる学術集会で公式サイトも開設されています。
http://mansei10.umin.jp/index.html
笙野頼子さんが7月16日、日本慢性看護学会学術集会で講演されました。自らの闘病経験に基づく『未闘病記』を中心に、作家として、膠原病患者として話され、講演後はサイン会も開催。先着の方々には愛猫ギドウくんのポストカードも進呈されました。 pic.twitter.com/ZoxPCLE54R— 群像編集部 (@gunzo_henshubu) 2016年7月19日
講談社「群像」twitterによると、そのあとサイン会が開催されてたらしいです。ギドウのポストカード、涼しげでいいですね。そういえば『未闘病記』は表紙だけでなく各章の頭や奥付の裏までギドウの写真のってましたな。

笙野頼子『ひょうすべの国』2016年秋ごろ発売予定、ひょうすべ連作書籍化

twitter文藝アカウントによると、笙野頼子さんの単行本『ひょうすべの国』が2016年11月24日ごろ発売されるそうです。
「文藝」で掲載された下記のひょうすべシリーズなど収録し書籍化される予定。
「ひょうすべの嫁」2012年冬号
「ひょうすべの菓子」2013年春号
「ひょうすべの約束」2016年夏号
「おばあちゃんのシラバス」2016年秋号など
「人喰いの国」2016年秋号

追記)アマゾンで予約ページできました。『ひょうすべの国』

ひょうすべシリーズでは、「だいにっほん三部作」*に登場した木綿助いぶき兄妹の母親・埴輪詩歌が登場。2016年から2060年までの「だいにっほん」時代より一世代前の過去話が明らかに。
戦争法案を施行しTPPに批准した「だいにっほん」になる以前の「にっほん」の社会を描いています。
【ひょうすべ5】笙野頼子「ひょうすべ」シリーズについては、こちらも参照ください……その3、「ひょうすべ」とは何か?……なおシリーズの単行本『ひょうすべの国』は秋ごろの刊行を予定しています。お楽しみに!!— 河出書房新社 文藝 (@Kawade_bungei) 2016年7月9日

*「だいにっほん三部作」とは『だいにっほん、おんたこめいわく史』、『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』、『だいにっほん、ろりりべしんでけ録』の三作です。

文藝2016年秋号に短編「おばあちゃんのシラバス」

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7/7発売の「文藝」2016年秋季号に笙野頼子さんの短編「おばあちゃんのシラバス」が掲載されています。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309978864/
「おばあちゃんのシラバス」は、2012年冬号「ひょうすべの嫁」と2013年春号「ひょうすべの菓子」2016年夏季号「ひょうすべの約束」につづくシリーズ四作目。
前作の「ひょうすべの約束」は、グローバル企業に支配されTPP批准した日本の十数年後を新自由主義社会「にっほん」(とウラミズモ)の世界として描くディストピア小説。その主人公埴輪詩歌がウラミズモに亡命できなかった話でした。今作は彼女とその祖母埴輪豊子の話です。
前作にもちょいちょい出てきた膠原病のおばあちゃん、実は薬で症状を抑えながら大学の非常勤講師として40年働いていたそうです。
主人公は高校三年から1年間、祖母の介護をしながら家庭教師をうける。
6年間教えて修士までの学問を学ぶ本格教育で、最初の一年はその概要を教える形。それ自体がシラバスみたいなものってことさね、つまり何を習うかを教えるのさ政治学はお家でミクロ政治学、ていうよりかどうしてこんな時代になったかを自分の体験からせめて理解しようよ。だけど今年はともかくシラバスの一年ですp427なぜ熱心に教えたかというと、どうして人喰い社会になったか理解できる大人に育てるため。
しかし持病抑える薬の価格がTPPで高騰し薬が買えなくなり、祖母は一年で亡くなってしまう。
豊子が死ぬとその娘で詩歌の母でもある埴輪ひるめは、ずっと冷静だったはずがふいに狂的に泣き喚いた、おばあちゃんを殺したのはお前だと自分の娘の詩歌を責め、殴りかかった。p424この場面が辛すぎる。火星人遊郭で働かなかったから親が死んだと娘を責めているのですよ。本当はTPPで医療が高額化しまともな治療を受けられなくなったためだし、児童労働を強制する社会そのものがおかしいはず。なのにそれがわからないと子を責める親になってしまう。仮に子を売って祖母を生かしたとしても、今度は母親なのに子を犠牲にした事実に苦しむ事になるのでは。
子か親かどちらかを売らないと生きていけないひょうすべ社会。どちらを選んでも地獄、恐ろしすぎる。ぞーん。

発売日にもう馬場秀和さんの感想がアップされています。内容がわかりやすくまとめられてて素晴ら…

文藝家協会ニュースに笙野頼子エッセイ

文藝家協会ニュース(No.762)2016年4・5月合併号の「会員通信」に笙野頼子さんのエッセイ「沖縄の学生、沖縄「戦後」ゼロ年」が掲載されています。
掲載誌は日本文藝家協会の月報です。主な内容は活動内容の報告で、「会員通信」は会員の最新情報のページとともに掲載されていました。
「沖縄の学生、沖縄「戦後」ゼロ年」笙野頼子
2011年、伴侶猫が死んだ淋しさから、立教大学院の特任教授になった。猫は十五で脊椎湾曲と癇癪と痴呆になり、そこから二年八カ月看病した。看取り終えて、生まれて始めての「お勤め」である。優秀な学生何人かに出会った。中に沖縄から来て博士課程に進んだ金城君(仮名)がいた。三年間もいてくれてむしろ教えられた。本土の沖縄街が出てくる作品で私は芥川賞を受けたけれど、難病でもあり、沖縄自体には行ったことがない。
金城君は目取真俊氏で卒論を書き、氏をノーベル賞にふさわしい作家と尊敬していた。この彼との縁で、昨年は崎山多美さんにも対面出来た。そして学校は今年の三月三十一日で任期満了、が二日後の四月二日、ヤフーニュースに驚愕、……悩んで金城君にメールすると、「この逮捕で目取真氏の研究ができなくなるのでは」等言われ困惑していた。「世界は目取真氏の味方」と返信して、ともかく協会のサイトに出そうとコメントを書いた。しかし出なかったので、抜粋をここに残す。ーー「目取真さんの御作は文芸文庫でも拝読しています。小説以外のものも、沖縄「戦後」ゼロ年が良かったです。この本によって私は、沖縄でまだ戦争が終わっていないのも同然の苦しみが続いている事を教えられました。/本土はかつても今も沖縄を犠牲にし迷惑を掛け続けています。投票で基地反対の結果が出ても、法律を変えてまでずっと勝手な決定を押し付けている。そんな不公平の結果出来た規則に拘束されて、逮捕されるのはあまりに不当です。他国は基地周辺住民の負担が減るようせめて努力するのに日本はしていない。」ーー今後協会サイトの改善を希む。
(昨年、雑誌「越境広場」が創刊された。崎山さん、又吉栄喜さんらが寄稿されている。本土の無関心や誤解に対しての優しい働きかけ。一号には山下洋輔氏も)。四月一日に沖縄米軍基地で抗議行動されている目取真俊氏が米軍警備員に拘束されたニュース、私も見ました。
目取真俊さんをアメリカ軍が拘束 辺野古で抗議の芥川賞作家 Huffin…

Kindle版『タイムスリップ・コンビナート』50%pt還元、『水晶内制度』20%pt還元に

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今Amazonの電子書籍Kindle本が50%OFFまたは50%ポイント還元セールが6/2まで開催されてます。
その中になんと笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』が50%ポイント還元、『水晶内制度』が20%ポイント還元になってますよ。
笙野作品がこういう50%ポイント還元セールに入る機会自体があまりないので、対象になるだけでテンション上がります。

タイムスリップ・コンビナート』は表題作と「下落合の向こう」「シビレル夢ノ水」の二つの短編、さらにラリイ・マキャフリイとの「あとがきに代わる対話」が収録されています。
「タイムスリップ・コンビナート」は『笙野頼子三冠小説集』読んだからという方もこのお得な機会に、収録作を読んでいただきたいですね。
馬場秀和ブログ『タイムスリップ・コンビナート』(笙野頼子)感想

せっかくなので関連情報まとめてみたり。
「タイムスリップ・コンビナート」の評価はこちらが一番ですね。
島村輝「鶴見線海芝浦駅縁起:笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」と「五五年体制」」

小説の舞台である沖縄会館や海芝浦が紹介されているレポートもあるんです。
「タイムスリップ・コンビナート」の舞台 - 異類感想記
デイリーポータルZ:鶴見リトル沖縄さんぽ
東京から30分で行けちゃう秘境!個性的な「鶴見線の駅」を味わうデート | アシタノプラン

「図書新聞」3255号に「ひょうすべの約束」書評

「図書新聞」3255号 5/21号の岡和田晃さん連載「〈世界内戦〉下の文芸時評」第15回「文学を脱政治化する、「別の政治」を可視化する試み」にて、笙野頼子「ひょうすべの約束」(文藝2016年5月号)が取り上げられています。冒頭で紹介されているのですよ。
今週の図書新聞
図書新聞と読書人は、コンビニのコピー機で購入できて本当に便利。300円入れてボタンを押すと新聞が印刷されて出てくるという。最近のコピー機は高性能だね。

講談社文芸文庫ワイドでリクエストを募集中

講談社文芸文庫ワイドが3月から刊行されてるそうで、読者リクエストを募集中です。リクエストから上位三作品を刊行する予定だとか。
期限は2016年5月15日まで。
該当作をリクエストした方の中から抽選で各1名に1冊プレゼントしてくれるとか。
https://eq.kds.jp/bookclub/7873/
ここで文芸文庫になっている『極楽 大祭 皇帝 笙野頼子初期作品集』とか『幽界森娘異聞』を投票するのはありでしょうか。ともかく、絶版のお気に入りの作品を応募するチャンスですね。

文藝2016年夏号に「ひょうすべの約束」

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4/7発売の「文藝」2016年夏季号に、笙野頼子「ひょうすべの約束」が掲載されています。2年ぶりに新作発表です。

表紙は名前だけでタイトルはありませんが、目次にありますよ。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309978864/
この短編は、2012年冬号「ひょうすべの嫁」と2013年春号「ひょうすべの菓子」につづくシリーズ三作目。
これまではウラミズモができる前の「だいにっほん」(だいにっほん三部作の)を舞台にした主人公埴輪詩歌のお話でした。
最新作の「ひょうすべの約束」は、TPPに批准した日本の十数年後を「にっほん」(とウラミズモ)の世界で表現しています。
約束とはTPPに批准(契約した・契約のハンコ押)を指していると思われ。
今回は短編10ページに情報が凝縮されてて、あらすじを書くとネタバレになってしまう。ぜひ直に読んで驚いてほしいです。

馬場秀和さんの感想もアップされています。相変わらず、すばやく簡潔にまとめられていて素晴らしい。
『ひょうすべの約束(「文藝」2016年夏号掲載)』(笙野頼子)
本作でおそらく完結と予想。でも続きあるらしいですよー。楽しみですね!

あと「ひょうすべ」短編シリーズて、政権批判を自主規制する社会をテーマにしているのではないかと今ごろ思い至りました。

追記)kingさんもひょうすべシリーズの感想アップされてます。
笙野頼子「ひょうすべの約束」「おばあちゃんのシラバス」その他 - Close to the Wall
おかげで「リョナナイト」の意味がやっとわかりました。
本作などの美少女文化批判は、オタク文化に内在する少女への性暴力性を消すことなく、現実世界にそのまま持ち込む点(萌えアニメキャラを役所のポスターにそのまま使ったり、碧志摩メグを観光地のゆるキャラにしたり)を批判していると私は理解しています。

web河出「私が薦める河出の本」に笙野頼子さん

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河出書房新社ポータルサイト「web河出」の創業130周年記念第7弾「私が薦める河出の本」に、笙野頼子さんが登場です。
http://web.kawade.co.jp/sp130th/485/
以下の6冊を紹介されています。

1. ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー 資本主義と分裂症』上・中・下巻
2. 稲葉真弓『ミーのいない朝
3. 金井美恵子『文章教室』『タマや』『小春日和』『道化師の恋』(目白四部作)

「1は二十年超えてまだ少しずつ2は猫魂と言霊に身を委ねて3は何も恐れぬ自由と誇りに満ちてどれも長い歳月を共にいた河出の本」とのこと。
他の作家さんは1〜3冊紹介のところ、6冊推薦されています。さらに併読推奨本も紹介。
千のプラトー』併読推奨は『記号と事件―1972‐1990年の対話』、
ミーのいない朝』は『エンドレス・ワルツ
金井美恵子目白四部作の併読推奨は『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』『快適生活研究』、要するに「目白シリーズ」押しですね。

にしても金井美恵子さんの本はどれも表紙がハイセンス。うっとりします。

ちなみに「私が薦める河出の本」の過去の記事では、村田沙耶香さんが笙野頼子『母の発達』、山崎ナオコーラさんは、笙野頼子『徹底抗戦!文士の森 実録純文学闘争十四年史』を紹介されていました。
web河出で『母の発達』『徹底抗戦!文士の森』紹介にまとめています。

auブックパス読み放題に『レストレス・ドリーム』『笙野頼子三冠小説集』

auブックパスの読み放題プランで、笙野頼子『レストレス・ドリーム』と『笙野頼子三冠小説集』が読めるそうです。
ブックパス:河出書房新社の創業130周年を記念して羽田圭介・木皿泉・長野まゆみなど
芥川受賞作家作品、映像化作品が読み放題!!

河出書房新社の創業130周年フェアの一環で、4月1日(金)から芥川賞作家特集で上記二作品が仲間入りしています。
4月15日(金)からは長野まゆみ特集も始まるそう。
公開期限は5月13日(金)23:59までなので注意です。

auブックパスとは通信会社auスマートフォンやパソコンで利用できる電子書籍サービスで、読み放題プラン月額562円。
通信会社auをお使いの方はご利用になってみてはいかがでしょうか。

お誕生日おめでとうございます

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今日は笙野頼子さんの誕生日です。おめでとうございます!
末永くお元気であられますようお祈り申し上げます。

記念に笙野頼子資料室をスマートフォンも閲覧できるように、デザインを変更しました。今はやりのレスポンシブというものを私もしてみるなり。

清水良典『デビュー小説論』

2016年2月24日発売された清水良典『デビュー小説論 新時代を創った作家たち』の第4章地獄絵のマニフェスト――笙野頼子『極楽』にて、
笙野頼子『極楽』が論じられています。
本作は「群像」で連載していた文芸評論「デビュー小説論」の書籍化で、第4章は2015年1月号に掲載された内容を加筆したものです。
デビュー作「極楽」は、初期作品として片付けられ、代表作とは異なると捉えられがちだけれども『太陽の巫女』や「カニバット」『金毘羅』に発展する主題が描かれていると解説。
作品末尾で、檜皮は周囲に奇怪なセリフを口にする。「ぼくは極楽から現世に落ちた人間です」--。
「声」が授けた「目と心」は「後世」−−つまり時間軸がずれただけの現世から来た。つまりこの「声」は、地獄と極楽という神仏的次元に接近していた檜皮を、無惨な現世に引きもどしたのだ。
この「声」に、「極楽」はいったん負けている。檜皮は「声」との戦いの敗者である。
しかし、「極楽」はむしろ惨めな現世に留まったことで、未来の足場を作った。超越的な世界に救われることなく、どこまでも生きにくい現世に留まり、現世を糾弾し続ける戦場を指し示したことが「極楽」の到達点である。
そして、ここから笙野の「声」との長い戦いが始まるのだ。p130『皇帝』で女装して徘徊する青年を、笙野は「巫女」と書いた。巫女とは現世に行きながら神の仲介者であり、自らの体に神を宿す者である。
初めて一人称の「私」が登場する『呼ぶ植物』が発表された八九年に、年譜によれば「後の『太陽の巫女』の原型になる長編四〇〇枚を執筆するが、ボツになる。」との記述がある。この『太陽の巫女』が日の目を見るのは六年後である。
一人称「私」で描かれるこの小説は、太陽神を祀る日本で一番保守的な町「ナギミヤ」を舞台に、首都で「やおい小説」を書いている女性作家の「竜波八雲」が帰郷し、冬至の太陽神である夫と「単身婚」を果たす物語である。夫は「夢と幻視」の神でもあり、八雲はこの結婚によって生涯ヒトの男とまぐわってはならず、夢と幻視の世界に没頭する定めとなる。
結婚もせず、夢と幻視に満ちた小説を書く「私」は、ここで「太陽の巫女」としての「私」へと創造しなおされるのだ。p136自らの生きにくさ、現世への違和感の根拠を幻視の世界で創造しなおすと同時に、この国を支配する権力と信仰のまやかしを糾弾するーー…

web河出で『母の発達』『徹底抗戦!文士の森』紹介

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河出書房新社の本のポータルサイト「web河出」の連載「私が薦める河出の本」第一弾で、村田沙耶香さんが笙野頼子『母の発達』をお薦めされています。
http://web.kawade.co.jp/sp130th/224/
「この作品の「中」は予想もしなかった場所で、そこに行くことで、「言葉」というものがどれだけ柔らかくで自由であるかを知りました。とても不思議な、強烈な読書体験でした。」とのことで、確かに『母の発達』は文章は自由に書いていいのだという開放感を感じます。「お母さん」のイメージも自由自在に展開して強烈でした。
欲を言えば、続編の『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』が河出から出ている点に触れてほしかったところです。

あわせて柴崎友香『寝ても覚めても』と松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』も紹介されてます。

2月19日に公開された山崎ナオコーラさんの回では、笙野頼子『徹底抗戦!文士の森 実録純文学闘争十四年史』を紹介しています。
http://web.kawade.co.jp/sp130th/343/
「作家って自由なんだ、なんだって書いていいんだ、書き続けていいんだ、と勇気を与えられます。 ユーモアが溢れていて、文字を追いながら思わず声を出して笑ってしまいます。」わかります。私も笙野さんの文章を読むと、自由に書いていいのだと枷を外してもらえた気持ちになります。
あわせて渋澤龍彦『唐草物語』、穂村弘『短歌の友人』を紹介されてます。

ご存知の方も多いと思いますが、『徹底抗戦!文士の森』は『ドン・キホーテの「論争」』の続編です。こちらは絶版でしたが、電子書籍で復刊しているので、今はセットで読めるのです。便利ですね。