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「週刊読書人」12/19号に『未闘病記』書評

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書評の新聞「週刊読書人」2014年12月19日号 年末回顧総特集の4面文芸欄で笙野頼子『未闘病記』がグランプリに選ばれました。 「圧倒的だった笙野の『未闘病記』 星野智幸の文句なしの傑作だった『夜は終わらない』」というタイトルで、町口哲生さんが2014年回顧記事を書かれています。 最後は本年度グランプリ。星野作品と終わりまで迷ったが、笙野頼子の『未闘病記』(講談社)が圧倒的だった。本作は膠原病の一種である「混合性結合組織病」に罹った「大学院教授にして不屈の純文学作家」の私を主人公にした私小説。前半部に関しては文芸時評で論じたが、後半部やあとがきを含めあらためて通読すると、笙野文学における身体性とは何より他者性であり同時にそれは社会性へのインターフェイス(接触面)だということがよく理解できた。それは身体性を有する文筆マシン・笙野頼子と日々の生活との接触部分を意味するだけでなく、社会へは情報のやりとりを通じた仲介として純文学が機能するという意味においてである。笙野文学の大きな流れに位置づけると、『愛別外猫雑記』など猫との生活を描いた作品辺りから身体性を過分に露呈した私小説のスタイルを意識的に採用する一方、『金比羅』のような幻想小説が執筆され、この二つの間を揺動しながら笙野語りともいうべき身体性を有した独特な言語が生み出されてきた。それを遺憾なく発揮したのが本作である。笙野文学の誕生秘話が判ることもありがたいが、笙野が病を『金比羅』のごとく神話的に描く可能性など今後の創作への言及もある。過去と未来。本作はその「間」を穿つ。 身体性=社会性へのインターフェイス。なるほど。しかしそう評されるとますますマシンみたいですね。 『未闘病記』が過去作と新作という過去と未来の間をつなぐ一作であるというのは、まったく同感です。 裏の3面、木内昇さんの「慶事の厄介」というコラムも面白かったです。今年三つの賞をとった為三ヶ月連続受賞式に出席された顛末をかかれており、読むだけで厄介さに苦笑い。お疲れさまです。 それと、野間文芸賞受賞式にking(東條慎生)さんが出席されたんですって。 野間三賞の贈呈式・祝賀会に行って来ました Close to the Wall ブログに写真と雑感が掲載されています。 ファンサイト管理人木村カナさんや岡和田さんもおられて、もう金比羅ブロガーズ御

Kindle Paperwhite2000円引きクーポン

Amazonの電子書籍Kinle専用端末でKindle Voyageというのが今年発売されまして。 e-inkスクリーン使用の白黒タブレット。カラーにくらべて目が疲れにくいから、まさに読書専用で、ほしいなーでも二万円台は高いなーとおもっていたら、その下位機種のKindle PaperwhiteとKindleが 2000円引きクーポン でお得に買えるというキャンペーンがががが。12/25までのクリスマスセール。 うわー安い。でも私すでにipad miniもってる、でもe-inkほしい、といま葛藤中です。どうしよう。

「群像」1月号で野間文芸賞受賞記念インタビュー

「群像」1月号 にて野間文芸賞・野間文芸新人賞発表されました。 笙野頼子『未闘病記——膠原病、「混合性結合組織病」の』が第67回野間文芸賞受賞し、受賞の言葉「メイキング笙野頼子全作品」と選考委員の選評が掲載されています。一部引用しますと、 昨年、十代からの持病が希少難病と判明した。現実世界における自己像はでんぐり返った。「怠けを死守しつつも闘争する人」から「困難を抱えても止めなかった人に」!「アクロバットだねこれ」、自分を書き換える?いや「素顔」をみせてみた。受賞作はメイキング笙野頼子全作品、究極の一冊だ。それで二十三年望んでいた賞を拝受!運命の皮肉?いえこれこそ神意です!みなさんに感謝、感謝、感謝あるのみ。 いやはや受賞の言葉も謙虚です。 清水良典さんによる受賞記念著者インタビュー「メイキング・オブ・笙野頼子」も収録。 (ちなみに、今号の清水良典「デビュー小説論」5回は「地獄絵のマニフェスト――笙野頼子『極楽』」と、笙野さんのデビュー作が取り上げられています。) さっそく馬場秀和ブログに感想がアップされています。 『野間文芸賞受賞記念インタビュー2014.11.8 メイキング・オブ・笙野頼子』(群像2015年1月号掲載) インタビューは、『未闘病記』執筆の話や大学院お勤めの話、飼猫の話、神話と信仰の話など、読者の気になる話が満載です。 ただこれはぜひとも言っておきたいんですけど、『なにもしてない』で一種幻覚症状のように書いてあるところは、細かい日常生活を一気にデフォルメして読んでいただくための工夫です。そこは笙野ワールドであって、けっしてくそリアリズムではないという事です。(p125下段) あくまでフィクションってことですね。笙野さんの小説はリアリティーがあって勘違いしやすいですからよけい注意です。 そして今後どういう神話(創作)を作り出すかという話の流れで、 もう一つは、母系制というか、女の人が財産を持つそして所有由来の自我と内面を持つというのはどういうことか、というのを考えて書こうと思っています。女の人間性、女の王が持つ魂、ですね。そして私は子どもも生んでないし、恋愛も何もしていないので、何をするかというと、女性が物を所有するということがどのようにして阻害あるいは回復されてきたかを書く。女が女の跡取りになっていくという状態は、現代では隠さ

「群像」2015年1月号で第67回野間文芸賞発表

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12月6日(土)発売の 「群像」1月号 で、第67回野間文芸賞(笙野頼子『未闘病記』)・新人賞(松波太郎『LIFE』)が発表、受賞の言葉と選評が掲載されるそうです。 受賞記念の対談「メイキング・オブ・笙野頼子」(笙野頼子さんと清水良典さん)、「身体リズムが生み出すユ-モア」(松浦理英子さんと松波太郎さん)も収録だとか。 http://gunzo.kodansha.co.jp/39015/39045.html あと、清水良典さんの連載デビュー小説論では笙野頼子さんデビュー作の『極楽』が取り上げられています。こちらも気になりますね。 笙野さんが2011年から勤めておられる立教大学にも、野間文芸賞受賞が発表されています。 文学研究科の笙野頼子特任教授が第67回野間文芸賞を受賞 | 立教大学 受賞の記者会見は各紙で報道されています。記事にまとめたり。 笙野頼子資料室blog: 日経・朝日・読売新聞・週刊読書人に野間文芸賞受賞記者会見