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11/12に講談社文芸文庫『海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集』刊行予定

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(電子書籍は11月11日配信開始!) 笙野頼子『海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集』が講談社文芸文庫より11月12日刊行予定です。解説は菅野昭正さん。2,000円+税・352ページ。 痛みと不遇が憧憬を輝かせた。 二十五歳でデビュー後、十年間本は出ず、八〇年代の片隅風呂なし四畳半送金あり、痛みと希死念慮をかかえた独居の歳月。 不屈の思考と憧憬で紡いだ、幻の初期作品群。 現在から過去を振り返る書下ろし「記憶カメラ」併録。 〈収録作品〉 海獣 柘榴の底 呼ぶ植物 夢の死体 背中の穴 記憶カメラ 版元.com: https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065217900 Amazon: 海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集 (講談社文芸文庫) 紀伊國屋書店: 海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集 / 笙野頼子 楽天ブックス: 海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集 1980年代後半に発表した作品を収録した『 夢の死体 笙野頼子・初期作品集2 』より「海獣」「呼ぶ植物」「夢の死体」、『 居場所もなかった (講談社文庫) 』の「背中の穴」、『 増殖商店街 』の「柘榴の底」が収録されています。 そして「記憶カメラ」は書き下ろし。楽しみですね! 「海獣」は鳥羽水族館のあざらしの描き方がリアルだったな。強烈に印象に残ってます。 『夢の死体』で評価が高い「虚空人魚」が抜けているのは残念ですが、文芸文庫『戦後短篇小説再発見10 表現の冒険』に収録されているからかもしれません。 「冬眠」は『 猫道 単身転々小説集 』の方に入ってます。

赤旗9/29・東京新聞9/30の文芸時評と図書新聞10/17に「引きこもりて コロナ書く」、日経新聞9/26夕刊文学周遊に「タイムスリップ・コンビナート」

しんぶん赤旗 2020年9月29日(火)10面の文芸時評「文学作品と言論の自由」に笙野頼子「引きこもりて コロナ書く #StayHomeButNotSilent」(「群像」2020年10月号)が取り上げられています。 作者は文芸評論家の岩渕剛さん。 新型コロナウイルスの感染は一向に収束には至っていない。長期にわたる対応が求められる中で、そこから浮かび上がる社会の姿が見えてくる。 笙野頼子 「引きこもりて コロナ書く」(『群像』) は、 この間の政府の施策と照らし合わせながら、自らに見える風景を描いていく。政府の政策は「ひたすら一貫して不動の対策を、或いは無策を、ただもう、ただただもう民を苦しめるために行う」ものだというのである。そこにはTPP(環太平洋連携協定)を推進し、 種苗法を変え、この国を自立できないものにしようとする意図があると、以前からの作者の主張を現在の状況に重ね合わせて述べていく。もちろん、そうした動きに反対する「農民連」の人たちもいて、作者は時々、 国会の前でその人たちと共闘もする。作者はこの事態を書き続けることで、現代を告発していく。 そして作者は、この国の人々の中にある不条理を考える。「なぜ我が国びとは不運な弱者や被害にあった人が姿を現すとその存在自体に怒るのであろうか、そして声をあげると黙らせるのであろうか」。ネットで広がるさまざまなバッシングを捉えながら、それが決して現代だけの特別なものではないことだとして、この国の「伝統」や「土俗」 のありようを問いかける。 確かに、空気のようにある土俗的な呪いそのものが原因ではないか、自覚的に呪い返さなければ自由になれないのではないかという問いかけかもしれませんね。 東京新聞 2020年9月30日(水)夕刊の伊藤氏貴さんの文芸時評にも笙野頼子「引きこもりて コロナ書く」が紹介されています。 「引きこもりてコロナ書く」(「群像」2020年10月号)で、笙野頼子はまさしく難病と闘いつつ、SNSやコロナについての考え方を煮詰める。たとえばコロナによって中止を余儀なくされた近所の「チューリップ祭り」で、人の集まるのを避けるためやむなく花の刈り取られたあとの写真がネットに出回り、それに対する非難が渦巻いた。刈らねばならない人の気持ちを推し量ることなく一方的に責め立てるこの風潮が「今のこの国の土俗、習俗、国民性」