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『未闘病記』書評まとめ

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「文藝」2014年冬季号 のBOOK REVIEWで、小山田浩子さんが『 未闘病記 』の書評をかかれていました。 病気の話だけでなく、作家の内面や創作姿勢など、内容全般を押さえており素晴らしいです。 「週刊読書人」2014年9月19日号 にも『未闘病記』の書評が掲載。 佐藤泉「死なないためのメタ性 作家の仕事を意味的に更新する小説」。 著者のかかった病、自己免疫疾患によって私の位置が獲得され、「文学論レベルでは私小説そのものを理論化する作業になっている」という私には難易度が高いハイレベルな書評です。 新聞などでは闘病記として評価されていましたが、今回は小説として文学的な面が評価されていて、とても嬉しいですね。 (余談ですが、読書人は電子書籍版もあるし、コンビニのコピー機でも印刷購入できて便利ですねー。) あわせて過去の書評&インタビュー 「群像」2014年9月号 『未闘病記』書評「文学、あるいは笙野頼子という病」清水良典 ダ・ヴィンチ 2014年10月号 「絶対読んで得する14冊 七人のブックウォッチャー」神田法子 朝日新聞10月5日(日) 書評『未闘病記』「心も体も揺さぶる圧巻な痛みの描写」内澤旬子 河北新報11月9日(日) 読書欄に清水良典さんの『未闘病記』書評(未確認) 毎日新聞9月7日(日)今週の本棚・本と人 『未闘病記』著者 笙野頼子さん 朝日新聞9月30日(火) 言葉は自分自身を救う 膠原病との「未闘病記」刊行 笙野頼子さん 山陽新聞9月27日(日) 笙野頼子さんインタビュー(未確認) 書評5つにインタビュー2つ。この反響の大きさはだいにっほん三部作以来ですね。 さらに追加。 11月12日(水)11:05~NHK総合「ひるまえほっと」番組内「中江有里のブックレビュー」で紹介 書評の新聞「週刊読書人」2014年12月19日号年末回顧総特集の4面文芸欄で『未闘病記』がグランプリに選ばれました。 「女性自身」2015年1月6日・13日合併号の「新進文芸評論家&連載陣が選ぶ・2014年BEST本」で田中弥生さんが笙野頼子『未闘病記』を紹介。 「週刊新潮」2015年1月1・8日号の「年末年始お薦めガイド」私が選んだ「ベスト5」Book Selectionで、中江有里さんが『未闘病記』を選ばれています。 日本経済新聞

群像2014年11月号に追悼文

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「 群像」2014年 11月号 の特集〈追悼 稲葉真弓〉で笙野頼子さんが追悼文「猫の戦友」を寄せています。 稲葉さんと笙野さんの交流、猫の話、最後にあった時の印象など綴られています。 稲葉真弓さんといえば、『 愛別外猫雑記 』で、 笙野さんが保護した若猫坊ちゃんをボニーと名付け、飼い主となってくれた方。 ルウルウとモイラのため、手元供養にと骨壺に敷く座布団を縫ってくれた 稲葉さんは手芸が得意なのですね。その優しさに目頭が熱くなりました。 ミーさんは稲葉さんを満たす幸福だった。「ボニーは愉快な友達、親友なの」 飼い主亡き後、ボニーは遺族の方々に大切にされているそうです。安心しました。 そのご遺族が校正された単行本未収録エッセイ集が10/15に発売だそうです。 稲葉真弓『 少し湿った場所 』幻戯書房 さっそく馬場秀和の感想がアップされています。 馬場秀和ブログ 笙野頼子『猫の戦友』(群像2014年11月号掲載) 『猫の戦友』(群像2014年11月号掲載)(笙野頼子)。「何よりも猫によって、私たちの人生はクロスし続けた。訪問した時もされた時も、猫のためだった。他の人々からハスキーと称される彼女の声はその時、やはり、少女のようだった」。稲葉真弓さんへの追悼文が掲載。飼猫ボニーは無事とのこと。 — 馬場秀和 (@babahidekazu) 2014, 10月 7

10/05朝日新聞に『未闘病記』書評

毎日新聞 と 朝日新聞 でインタビューが掲載された次は、 朝日新聞10月5日(日)の書評欄に『 未闘病記 』が掲載です。 朝日新聞(書評)『未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の』笙野頼子〈著〉 担当は内澤旬子さん。 圧巻は、症状があまりにもひどくなり、つたい歩きどころか寝床から起き上がれなくなって、やっと病院に駆け込むまでのくだり。 身体を丸め「いいいい」と呻(うめ)きながらページをめくった。体験したことのない痛みなのに体感している。言葉が、文が、心だけでなく身体にまで揺さぶりかける。壮絶。さすが。なのにタイトルは奥ゆかしく「未闘病記」。文学を恐ろしいと、はじめて思った。 まったく同感です。死にそうになっているのに、奥ゆかしいというか謙虚すぎる。とても著者らしいですけれど。 それと、東京新聞10月4日(土) 夕刊のコラム「大波小波」にも『未闘病記』が。 中日新聞+に掲載されていたので引用 。 <大波小波> 病気と文学  2014/10/4 中日新聞夕刊 笙野(しょうの)頼子『未闘病記』(講談社)の評判が良い。『群像』九月号での千石英世との対談は当然としても、その後も各紙が競うようにインタビューを掲載。超マイナー路線を行く彼女としては異例のことだろう。 内容は膠原(こうげん)病、それも「混合性結合組織病」という難病。本来身体を守るべき免疫組織が逆に自分自身を攻撃、壊してしまうのだ。汝(なんじ)の 敵は汝自身だった。昨年、初めてそういう診断、病名が下され、今は微量のステロイドでひとまず治まっているのだという。 そう分かってみれば十代の頃から抱えていた症状、小説のなかでもさんざん描いてきたものが全てこれに繋がる(つな)がっていたわけだ。本人も書いている通りほとんど「笙野病」だが、彼女の率直さと辛辣(しんらつ)さを合わせた文体から、そのまま現代の原発社会自体の免疫不全症候群の隠喩ともなっている。 その昔、大原富枝は結核治療薬ストレプトマイシンのために耳が遠くなった。その体験から名作『ストマイつんぼ』が生まれたのだが、そのことを古い友人の和田 芳恵が「つんぼになってよかったね」と言って話題になった。人生の不幸が文学上の僥倖(ぎょうこう)に逆転する機微だ。笙野のこれからについても、膠原病でよかったねと言われるような活躍を祈りたい。 (未疾病者)