10/05朝日新聞に『未闘病記』書評

毎日新聞朝日新聞でインタビューが掲載された次は、
朝日新聞10月5日(日)の書評欄に『未闘病記』が掲載です。
朝日新聞(書評)『未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の』笙野頼子〈著〉
担当は内澤旬子さん。
圧巻は、症状があまりにもひどくなり、つたい歩きどころか寝床から起き上がれなくなって、やっと病院に駆け込むまでのくだり。

身体を丸め「いいいい」と呻(うめ)きながらページをめくった。体験したことのない痛みなのに体感している。言葉が、文が、心だけでなく身体にまで揺さぶりかける。壮絶。さすが。なのにタイトルは奥ゆかしく「未闘病記」。文学を恐ろしいと、はじめて思った。
まったく同感です。死にそうになっているのに、奥ゆかしいというか謙虚すぎる。とても著者らしいですけれど。

それと、東京新聞10月4日(土) 夕刊のコラム「大波小波」にも『未闘病記』が。
中日新聞+に掲載されていたので引用
<大波小波> 病気と文学 
2014/10/4 中日新聞夕刊
笙野(しょうの)頼子『未闘病記』(講談社)の評判が良い。『群像』九月号での千石英世との対談は当然としても、その後も各紙が競うようにインタビューを掲載。超マイナー路線を行く彼女としては異例のことだろう。
内容は膠原(こうげん)病、それも「混合性結合組織病」という難病。本来身体を守るべき免疫組織が逆に自分自身を攻撃、壊してしまうのだ。汝(なんじ)の 敵は汝自身だった。昨年、初めてそういう診断、病名が下され、今は微量のステロイドでひとまず治まっているのだという。
そう分かってみれば十代の頃から抱えていた症状、小説のなかでもさんざん描いてきたものが全てこれに繋がる(つな)がっていたわけだ。本人も書いている通りほとんど「笙野病」だが、彼女の率直さと辛辣(しんらつ)さを合わせた文体から、そのまま現代の原発社会自体の免疫不全症候群の隠喩ともなっている。
その昔、大原富枝は結核治療薬ストレプトマイシンのために耳が遠くなった。その体験から名作『ストマイつんぼ』が生まれたのだが、そのことを古い友人の和田 芳恵が「つんぼになってよかったね」と言って話題になった。人生の不幸が文学上の僥倖(ぎょうこう)に逆転する機微だ。笙野のこれからについても、膠原病でよかったねと言われるような活躍を祈りたい。
(未疾病者)
評判いいんですね、よかった。
毎日と朝日と山陽新聞にインタビュー載りましたからね。出版社の方もサイン本やtwitterで宣伝してくれましたし、書店の方々もパネルやポップで宣伝してくれたおかげですね。
大原富枝『ストマイつんぼ』は『新日本文学全集〈第37巻〉』や『昭和文学全集〈19〉』に収録されているようで、読んでみようと思います。

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