「すばる」9月号崎山多美エッセイ・「早稲田文学」2015年秋号アンケート

2015年8月6日発売「すばる」9月号に崎山多美さんのエッセイ「習合ぎりぎりの境界から、私信ふうに、拝啓、笙野頼子様」が掲載されています。
集英社「すばる」9月号もくじ
崎山多美がエッセイ「習合ぎりぎりの境界から、私信ふうに、拝啓、笙野頼子様」を寄稿。沖縄に暮らし小説を書く崎山多美が、四半世紀ぶりに東京を訪問。そこで笙野頼子と出会い、語り合うことで感じた、「フツフツとしたなつかしさ」。この感情は、何に由来するのか……?
文芸誌『すばる』の公式アカウントより
それは「世界の理不尽さに全身全霊を込めて立ち向かう者の身体から発せられる、フツフツフツとした声のトーン」が、沖縄で活動しておられる方とにているからだと気づいたそうです。
崎山多美さんは2015年3月に雑誌「越境広場」を創刊・編集を手がけておられ、創刊の辞がネットで公開されています。
雑誌「越境広場」創刊の辞「沖縄を交差点として」

8月7日発売「早稲田文学 2015年秋号」の緊急企画「安全保障関連法案とその採決について」アンケートに87名の回答があり、笙野頼子さんの回答が掲載されています。
http://www.bungaku.net/wasebun/magazine/index.html
市川真人早稲田大学准教授の「早稲田文学」アンケートは、2003年11月号「書き手にとって「雑誌」とは?」、2004年5月号「ブンガクシャは派兵と改憲についてどう考えるのか」が行われて以来11年ぶりだそうで。
「法とその解釈をめぐる問題は言葉と物が鳥の問題でもあるはず」という前提のもと「みなさまがとりあえずいま、どのようにお考えかについて集約的に掲載させていただき、社会に思考の材料として提示」するとともに今後の特集に備えることができればと、早稲田文学編集室よりメールで以下のアンケートをお送りしました。
「昨日、衆議院特別委員会で可決され、本日の本会議で採決が予定されている安全保障関連法案について、またその審議や採決の進められ方など一連の事態について、さらには未来へ与える影響や是非などについて、現時点でのお考えを伺いたく存じます」
校了前4日、期限48時間(短!)、文字数250文字前後、ギャラなし掲載誌送付のみ。という条件でお願いしたそうです。
いとうせいこうさんにも回ってきたけどは答えなかったとか。
まだ文芸フェスってやるのかな。日本財団バックの。俺はスポンサーと考えが違うと出席を何度も断ってきたけど。フェスに関係してる早稲田文学が「集団的自衛権について」みたいなアンケート回してきて、どの立場で?とゴミ箱に捨てました。
いとうせいこうTwitterアカウント
回答された新城カズマ氏は、文字数オーバーで続きはtwitterでかかれるそうだとか。

緊急企画は2015年8月9日の東京新聞特報面で紹介されています。
Twitter 東京デンシバン!(超人)安保法案に関する文学者アンケートを実施した文芸誌『早稲田文学』(秋号)の紹介記事
記事で笙野頼子さんの内容が「今の文学界を売上文学と揶揄し」と紹介されていますが、本文は違うような。
批判は「売上文学論者」に限定しています。以下に引用します。
自国の非常時文学は?さあニセダ文学伝統芸のなりすまし服従儀礼ですよーんwww
市川君
さあいくぜ!ほれ、昔話からな!前のアンケートの時、私は「他国の非常時文学は」と普段は文学なんか大嫌いで一行も読まんようなニセダ文学の皆さんがこんな時こそと「文学の無効」を騒ぎ立てたくて、普段まったく何をしてるか知りもしない、文学者相手に無料のアンケート仕事を丸投げしてきたので、怒り狂って吠えまくりましたような「記憶」がござんす。しかもその当時は売上文学論者大塚某が連載中だったろ。そして、私の「私小説」よりずーっとご立派に有効なはずのこのニセダアンケート、なんですと、十年以上もおさぼりしていらっしゃったって?
ふん、今戦争始ったらお前らこそ戦犯だね。黙ってたのかよ売国tppだの亡国オリンピック、いやそれ以前、人類滅亡原発稼働派の売上文学論で作りこんだが故の、今の惨状だぜ。要するにお前らの無神経言語が戦犯。
まったくこの文学青年のなりすまし共、事がおこりゃまたも文学にソッコー丸投げ、締切朝六時、還暦前のリウマチ作家が混合性結合組織病にむしばまれて。今中指と背中脱力して右手首もしびれてるわ。一本指打法な。
そのうえでオレが文学だってまた言ってやろうじゃん、へっへーん、だって。
オレだいにっほんシリーズの作者、笙野頼子だぜ。あれから十年?「憲法を地上げ」ってまだ帯にある。安倍政権が外国要人接待に「火星人遊郭」を使ったのもネットで見たわい。
北原みのりは、「水晶内制度」をもう笑って読めない予言の書と。一方斎藤美奈子原発直後ソッコーで文学が現在を書いていないと、天下の朝日。しかもあんた昔は文壇バー「英」の二次会で「ふんっ、これが文壇か」てにらんでなかったか?文学が無効って言った時だけあんたはなりすましで文学者になる。嘘のインチキの服従儀礼だなあ。
十年前ニセダが贋の権威を与え偉くしてしまったあの大塚、未成年のヌードグラビアを作っていた先生は今やロリコン輸出の某大学国策隊長だ。へ?結局は何もかもがニセダの捕獲装置のせいかもねえ。

そして戦争になったらまた沖縄の方々に迷惑がかかるのだ。こうやって書くのも申し訳ない。「日本」っていいながらその日本の中で、誰かだけをいじめることを考えて、いや、「考えてもいない」のかよ、そこがまさに戦争の種だと思うわけで。 笙野頼子
(「早稲田文学」2015年秋号 p367-368)
まさにいじめるという自覚なしに抑圧し、された側は反発反撃して紛争になっていくように思います。

ちなみに、2004年イラク戦争派兵アンケートの回答は『徹底抗戦!文士の森 実録純文学闘争十四年史』p193に収録されています。
それが掲載された「早稲田文学」2004年5月号の目次は、早稲田文学ショップCGI→カテゴリー「第九次早稲田文学」に移動すると読めます。
http://www.bungaku.net/wasebun/bknum/manage/stdx.cgi
もくじをみているだけで、2004年・2005年の文学叩き感が伝わってきますね。

アンケート特集は87人の意見が12ページぎっしりつまっています。
なかでも日本文学研究者の木村朗子氏は、安保関連法案の顛末に文学研究も一旦の責任があるのではと書かれていました。
文部省は人文系の学問を廃止するという。日本語はじきに亡失するだろう。安保法案をめぐる問答をみれば、すでにその崩壊ははじまっているというべきか。もうこれからは英語でやりとりするようになるのだから、このような拙い問答で良いとでもいいたいのかもしれない。英語の質問が聞き取れず、破れかぶれで自説のみを話す人をみるようだ。
しかしこうした顛末に文学研究は一旦の責任を負っているのではないか。正しい読みなどはない、正史などはない、歴史は物語である、解釈は読み手の自由であるといった批評が逆手に取られて「あたらしい歴史教科書」が現れたり、憲法の改正から解釈へと向かったりしたのではないか。
(「早稲田文学」2015年秋号 p364)

研究者の方といえば、いま全国の大学有志の会が反対声明を出されています。
各大学の取り組み一覧 - 安全保障関連法案に反対する学者の会
その数80越え。早稲田大学からのアピールもありました。

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