『現代小説クロニクル 1990~1994』4/10発行

講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1990~1994』を頂きました。
笙野頼子さんのサイン入りですよ!ありがとうございます!嬉しいから表紙画像アップ。
「現代小説クロニクル」はアンソロジー。「現代小説は40年間で如何に表現を切り拓いてきたのか」という視点で、1975年以降に発表された名作短編を5年単位で厳選する全8巻シリーズ。
4月10日に発売された『現代小説クロニクル 1990~1994』で4巻目です。281ページ。
編集委員は川村湊・佐伯一麦・永江朗・林真理子・湯川豊(日本文藝家協会編)。
目次
「フィヨルドの鯨」大庭みな子
「ティーンエイジ・サマー」鷺沢萌
「晩年の子供」山田詠美
「夕陽の河岸」安岡章太郎
「七夕」石牟礼道子
「十七枚の写真」後藤明生
「セミの追憶」古山高麗雄
「光とゼラチンのライプチッヒ」多和田葉子
「犬を焼く」中沢けい
「タイムスリップ・コンビナート」笙野頼子
巻末エッセイ「「光とゼラチンのライプチッヒ」を書いた頃のこと」多和田葉子
解説:川村湊
作者紹介
現代小説クロニクルシリーズはエッセイが一本収録されており、本作は多和田葉子さん。
解説の笙野さん部分は「型破りの超私小説」と。
笙野頼子は、デビューそのものは、一九八一年(「極楽」で群像新人文学賞)と早いが、十年近くの雌伏の末、一九九一年に「なにもしてない」で野間文芸新人賞、一九九四年に「二百回忌」で三島由紀夫賞、同年、「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞を受賞して、いわゆる”大ブレイク”することになる。マジック・リアリズム的な手法や型破りの超私小説、論争的なモデル小説と、新機軸の作品世界を押し広げながら、果敢に純文学の前衛であり続けようとする姿勢は、まさに独自な文学空間を作り上げているといえる。
「タイムスリップ・コンビナート」は、東京湾岸の鉄道の盲腸線の最終駅まで行ってみるという散策小説ともいえるものだが、その歩行の末に、海のなかへ消えてしまうというような線路が、コンビナート風景とあいまって、シュールレアリスム的な近未来の光景と見えてしまうということを否定できないのである。p274
海芝浦駅は一度行ったことありますが、あの場所と風景自体がシュールですからねー。

Close to the Wallに感想が掲載されています。日本文藝家協会編 - 現代小説クロニクル 1990-1994 後藤明生再読「十七枚の写真」笙野頼子再読「タイムスリップ・コンビナート」

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初出:本書の底本
「フィヨルドの鯨」大庭みな子/日本経済新聞出版社『大庭みな子全集12』2010年
「ティーンエイジ・サマー」鷺沢萌/河出文庫『少年たちの終わらない夜』1993年
「晩年の子供」山田詠美/講談社文庫『晩年の子供』1994年
「夕陽の河岸」安岡章太郎/新潮文庫『夕陽の河岸』1994年
「七夕」石牟礼道子/藤原書店『石牟礼道子全集 不知火 14』2008年
「十七枚の写真」後藤明生/講談社『しんとく問答』1995年
「セミの追憶」古山高麗雄/講談社文芸文庫『戦後短篇小説再発見2』2001年
「光とゼラチンのライプチッヒ」多和田葉子/講談社『光とゼラチンのライプチッヒ』2000年
「犬を焼く」中沢けい/講談社『豆畑の夜』1995年
「タイムスリップ・コンビナート」笙野頼子/河出文庫『笙野頼子三冠小説集』2007年
文春文庫ではなく、河出文庫『笙野頼子三冠小説集』から収録なんですね。本文の追加修正などなし。
あと、講談社BOOK倶楽部の紹介ページ

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