「波」3月号の瀧井朝世「サイン、コサイン、偏愛レビュー」に『二百回忌』

二百回忌 (新潮文庫)
新潮社PR誌「波」2015年3月号連載の瀧井朝世「サイン、コサイン、偏愛レビュー」の
第60回復活&重版希望<新潮文庫編>で、笙野頼子『二百回忌』が紹介されました。
普段は発売中の本を紹介するコーナーがキリ番記念企画で入手困難本を紹介されています。
今号は新潮文庫しばりで以下の三冊を選ばれたそうです。
・イアン・マーキュアン 『贖罪』小山太一訳
・小林恭二『日本国の逆襲』
・笙野頼子『二百回忌』
芥川賞作家の傑作集
で、版元には本当に申し訳ないのだけれど、今回は新潮文庫しばりでいくことにした。3冊目は笙野頼子『二百回忌』。表題作は三島由紀夫賞受賞作で、『笙野頼子三冠小説集』(河出文庫、他の二作は野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」と芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」)に改稿されたものが収録されているが、こちらの文庫には他の短編が入っている。笙野氏も大好きな作家で、現実のなかに時に不気味に、時に愉快に不合理が紛れ込んでいく作風が魅力。文庫のカバー裏に「日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮」とあり、こちらも深く深く首肯。
表題作は二百回忌の法事で、甦った祖先と親族たちとの大宴会が催される。「大地の黴」は<私>が十歳の頃に拾った骨が入った壺にまつわる話で、「アケボノノ帯」は女の子が排泄の神と化する女の子の話を描く女が登場。「ふるえるふるさと」は、故郷に帰省中に子供に戻ってしまった語り手が、過去を思い出す。故郷や家、家族に対する愛憎が垣間見えるこの作品集を、20代で自分をクロスさせて読めたのはよい体験だった。こちらも手軽な文庫で、多くの人に読み継がれていってよい一冊だ。
私も『二百回忌』大好きなので、まったく同感同感です。収録作の「アケボノノ帯」は、『硝子生命論』や『水晶内制度』とリンクする(要素があると思う)短編ですので、皆さんに読んでいただきたい。これが一番好きだというファンもいるんですよ。
なのに絶版な上、電子書籍化してないんですよね。
新潮社つながりで『渋谷色浅川』も一緒に早くKindle化して欲しいです!(電子の本でも感電しないし)。
ちなみに、瀧井朝世さんはtwitterされているんですよ。

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