群像1月号に新作短編、民主文学1月号にエッセイ掲載

12月8日発売の「民主文学」2019年1月号に笙野頼子さんのエッセイ「山よ動け女よ死ぬな千里馬よ走れ」が掲載されています。
「文学は激変する社会状況に対し何が出来るのか」
(1)「ひょうすべの国」「猫キッチン荒神」をなぜ描いたか。
(2)現代における文学の役割をどう考えるか。
(3)現代の政治状況について、作家の立場から批評を
という編集部の質問に対して、サービス全開で答えて行きます。10ページかけて。
うちら文学者は別に面接に来たのでないよ。それなのに? 何が? できるか? だって。
民主文学に出来る事? それならばさくっとクソバイスでもなんでも言えるけどね。例えば幟を肉球新党のような素敵なのにしたら? とか。
でも今主語と質問者の関係さえとても曖昧だ。そもそも文学に出来ない事なんてあるんですかね?だってすごいですよ、この文学という馬は、いわば、千里の馬。
どんなに時代が激変しようがしまいが要するに文学は万能、死なない馬。言葉がある限り始まりがある限り疑問とともにやって来て、育ってしまう馬。それはしかも一日千石の食物を与えれば千里を走る馬だ。でもあげなければ普通の馬にもおとるとどこかに書いてあったよ。
肉球新党ww でなくて。群像といい、新年号は「文学にできることは〜」と考えたくなるんですかね。
 女よ死ぬな! わたしはまず、自分が死ななくて良いように文学をやっている。
なので「選挙勝たないと」などと平気で行っている(文学の中でさえも)。
しかし森鴎外だって言ったはずだよ? 文学は何をどんなふうに書いてもいいものだと。
だからまたここに、最後に書いておく、能天気な希望? いや、イメージする事で前に進むんだ。
山よ動け、女よ死ぬな、千里馬よ走れ。
文学も創作の一ジャンル、作りたいものをやりたい様に作ればいいのです。読者も自由な創作を待ってます。民主文学の会員さんもフリーダムにいきましょう。
笙野頼子『山よ動け女よ死ぬな千里馬よ走れ』(「民主文学」2019年1月号掲載)
さっそく馬場秀和ブログに感想がアップされています。仕事が早い!


12月7日発売の「群像」2019年1月号に笙野頼子さんの短編小説「返信を、待っていた」が掲載されています。
こちらは特集「文学にできることを Ⅰ〈短篇創作〉」5作品の一つ。他に
・「遺言」瀬戸内寂聴
・「鏡」日和聡子
・「21ピース 日曜日の人々〈付録と補遺〉」高橋弘希
・「夜神楽の子供」小山田浩子さんらが収録されています。
http://gunzo.kodansha.co.jp/52563/52566.html
本編は、亡くなられた川上亜紀さんの詩を引用しつつ、川上さんとの交流と老病ピジョンとの静かな暮らし、反TPP活動とネットの女性差別への批判など、今年一年の近況報告を16pに圧縮した特濃短編小説。

川上さんは笙野さんと同様自己免疫疾患系の難病をお持ちでした。
彼女の病気は、私よりも少し人数が多いらしかった。しかし実はそれはあの、潰瘍性大腸炎なのだ。ーーTPPにより、国民健康保険を壊滅させて、難病患者を全滅させようとしている、例の首相とどんぴしゃで同じ病である。
首相を許さない。難病でありながら、難病患者を売った。私たちを人間だと思っていない。亜紀さんも私も、要は世界的医療複合体に食わせるエサなのだ。一個の桶の中で、伝わる会話をしながら、生きたままおとなしく食われていけというのか?
TPP強行採決だけでなく、水道法改正案、入管法改正案と、立て続けに強行採決。国民は資材としか思っていないのでしょう。
今は十一月で、彼女の最新刊となる短編集『チャイナ・カシミア』のゲラが家に来ている。私は十二月中に、この後書きを二十枚、書くことになっている。しかしここ一年、いったい私は何をしていたのか。
なんと、川上亜紀短編集『チャイナ・カシミア』の後書きは笙野さん担当らしい。
そして一年を振り返ります。
・ひょうすべの国を書き、TPP反対のデモに参加。(参:エッセイ「近況ご報告その他」資料室に掲載
・なぜか新宿ベルク炎上に巻き込まれる。
(参:岡和田晃公式サイトに笙野頼子さんのコメントが掲載
イカフェミ誤用ツイートはこちら。

・内閣府TPP11説明会に参加し産経に一般人と出て、参議院会館前のTPP抗議集会に駆けつけ。
・「新潮45」のLGBT差別のへ抗議も(参:私たちは抗議する 笙野頼子・北原みのり)などなど。
 小晦日には植民人食い条約が発効する。
国民の寿命が八十まであり、水道の水は安全なもので、保険証を持って医者にかかり、老後の年金を大切に使い、静かに生きていく、そういう世界が消える。人々は路上に追い出されて、食物は世界の災害のたび値上がりして、貧乏人から水が取り上げられ、その上でどこに本社があるのかも分からぬ世界企業が、私達を資材にして、絞り取る世界になる。
新ナフタがISDSに制限をかけて、北米では使えなくしたというけれど、抜け道はある。今までもISDSの制限をするために、あるいは使えなくするための協議が行われ、それはたちまち企業よりになっていった。しかもいくつもある条約は連動して、一つが民を喰うと他のも喰えるような約束になっている。とどめに専門家の見方、日米FTAには必ず破滅的なISDS条項がつくというのである。
何よりも日本は、カナダ、オーストラリアと違い、怖い条約に制限をかけたり、仲のよい国同士で悪いものを適用しないように約束して、サイドレターを交わすとか、そういう事をほぼ、一切していない。本来ならもっとも豊かな国をこうしてしまって、無論官僚は満足しているのである。しかしまだ出来ることはある。
 希望? TPPは書面で抜けられる(しかし発効するまでは脱退も出来ない)。その他、今からこそこそと成立する地獄運用用の法律も見張るしかない。なお、種子法と水道法はこれからは地方議会での抵抗になる。まだ抵抗できる。
日米FTAは日刊ゲンダイで内田さんが答えているけれど、トランプが辞めるまでにとにかく引き延ばす。が、引き延ばして壊してしまうべき人喰いの地獄を、主導して無理にまとめたのは多くの野党議員をも含むこの国の支配階層だ。
結局一番良いことは徹底した政権交代なのだ。つまりいつまでも婦人参政権をないことにしてしまう、あの男尊左翼を私は当面まずなんとかするしかない。彼らは結局政府と同じなのだ。救われたいものを、諦めさせることだけがその望みなので。だがそんな中、……。

振り返るわたしの頭越しに最初の太陽の光が届く。(川上亜紀詩集『あなたとわたしと無数の人々』)
地獄となる現実の中、最初の太陽の光・希望が一筋。その前向きさに力づけられます。
日刊ゲンダイの記事は多分これですね。
【インタビュー動画】米国第一を掲げ対日貿易赤字の削減に躍起のトランプ大統領に日本は防戦一方。日米FTA交渉の行方をNPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんに聞きました。

馬場秀和さんの感想。
『返信を、待っていた』(笙野頼子)(「群像」2019年1月号掲載)
もしかしたら長編小説が読めたかもしれないのですか。
確か馬場さんのパートナーは詩人、川上さんとお付き合いがあったのですね。
『チャイナ・カシミア』は来年早々に出版予定で、プラス作品集も出るとか。

東條慎生さんの感想ツイート。


朝日新聞12月26日、しんぶん赤旗12月25日、共同通信12月の文芸時評に短編が紹介されました。
朝日新聞・赤旗・共同通信の文芸時評に「返信を、待っていた」

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