中日新聞12/2「藤沢周さんの3冊の本棚」と北海道新聞12/2に『ウラミズモ奴隷選挙』
中日新聞2018年12月2日(日)12面読書欄「藤沢周さんの3冊の本棚」に笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』が取り上げられました。
東京新聞にも掲載されてるはず。紹介された3冊は以下。
・笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』
・川内有緒『空をゆく巨人』
・山野辺太郎『いつか深い穴に落ちるまで』
未来の話なのに「どう読んでも今現在の国としか思えぬ」から怖いのです。
短い文章の中、流れるようにあらすじとTPPの問題が指摘された素晴らしい書評。
ほっとWebHOME > 3冊の本棚
東京新聞ほっとWebに「3冊の本棚」のバックナンバー公開されているのですね。月末に本記事もアップされるかも。
北海道新聞12月2日(日)に八木寧子さんの書評が掲載されました。ネットにも。
「女尊国」通し日本に警鐘 <書評>ウラミズモ奴隷選挙 評:八木寧子(北海道新聞)
東京新聞にも掲載されてるはず。紹介された3冊は以下。
・笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』
・川内有緒『空をゆく巨人』
・山野辺太郎『いつか深い穴に落ちるまで』
新米のうまい季節ですなあ。中性脂肪は、はるかに基準値オーバー。「まあ、いいか」とむさぼりつつも、ふと、この米を作ってくれる農家の方々を想って、一瞬、箸が止まるのだ。例の環太平洋連携協定(TPP)批准やら紛争解決手続き(ISDS)条項、種子法など、一体どうなる? 一般国民にも当然響く。お国が現在・未来の国民を守ろうとしているとは、到底思えないのだ。「怖い、だが、痛快。」とは本書の特徴を端的に表現しています。正にその通り。
(1)笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』(河出書房新社・ニニ六八円)の「痴漢国家・にっほん」は、「民を売り飛ばしたい、でも、金は残したい。しかしその金も大国に奪われる時は、無抵抗」。世界企業の植民地となった奴隷大国なのである。これ、ディストピア(絶望郷)小説だが、どう読んでも今現在の国としか思えぬ。そして、破廉恥国「にっぽん」から独立した女性だけの国「ウラミズモ」は、TPP等、国民無視の政策を良しとした男どもに、天誅の数々を下すのである。怖い、だが、痛快。つまりは、「にっほん」という権力に抵抗を試みる、希望の書でもあるからだ。
未来の話なのに「どう読んでも今現在の国としか思えぬ」から怖いのです。
短い文章の中、流れるようにあらすじとTPPの問題が指摘された素晴らしい書評。
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東京新聞ほっとWebに「3冊の本棚」のバックナンバー公開されているのですね。月末に本記事もアップされるかも。
東京新聞12月2日付けの「3冊の本棚」。数の力で強行採決ばかりの政権に、「喝!」の3冊であります。
— 藤沢周 (@Shu_Fujisawa) December 12, 2018
・笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』(河出書房新社)
・川内有緒『空をゆく巨人』(集英社)
・山野辺太郎『いつか深い穴に落ちるまで』(河出書房新社)+日上秀之『はんぷくするもの』(同) pic.twitter.com/RwTZJW2aMW
北海道新聞12月2日(日)に八木寧子さんの書評が掲載されました。ネットにも。
「女尊国」通し日本に警鐘 <書評>ウラミズモ奴隷選挙 評:八木寧子(北海道新聞)
笙野作品ではおなじみの「ウラミズモ」とは、「幻の女尊国」のこと。決して理想国家ではないが、弱い者いじめを放置するとどうなるかという問いへの、文学としての回答のひとつだ。ウラミズモに重きを置いて解説されています。経済的に搾取するために差別が行われ、差別を利用して性暴力が横行する、この構造を批判するためにもTPPと女性差別を批判する、ここ重要な点ですね。
主人公は市川房代。「にっほん」で奴隷に生まれ、「ウラミズモ」移民後、「男性保護牧場」を統括する。そこは端的に言えば、性犯罪者を見せ物として辱め、生殺与奪が委ねられた場。男性諸氏は眉をひそめるかもしれないが、女性や子ども、高齢者や性的少数者たちが受けてきた不当な「差別」や「虐待」を、対象を「男性」に置き換えて具現化したものだ。
物語には「神」も登場する。彼女は、長い時間この「国」で繰り広げられてきた事象を眺めてきた存在。ただ、女であるという一点において彼女もまた排除される側であり続けてきた。
「ウラミズモ」とは、「出雲」以来の「恨み」であり、「マチズモ(男性優位主義)」の「裏」でもある。「性暴力の後ろにある差別暴力と経済暴力」をあぶり出す灯火であり、「経済」が「表現(言葉、文学)」をしのぐという、虚構より虚構的な現実に抗(あらが)うために選挙権を行使せよ、という旗印でもある。