笙野頼子「九条越え前夜と火星人少女遊廓の誕生」

「論座」2008年6月号に掲載された短編。
頭に生えた4匹の蛇と金毘羅さんの微笑ましい生活と、
孤高愚弄之助の子「多幸愚留之助」誕生秘話(笙野頼子著)、
実録「火星人少女遊廓の起源とその歴史」(八百木千本著)が書かれている。

「いかふぇみうんざり考」は「9条超え」をテーマにした護憲派から改憲派になる論畜の話もあると対談にあったが、「九条越え前夜」はその前夜祭的な話。

死にかけている孤高愚弄之助を物干炉理竹が捨てよう・でも捨てられないと困っていた。
困った物干炉を「救う」ために孤高は「多幸愚留之助」を作ることを提案する。
「悲願ノ九条を越えさせ」る大物に育ててほしいと。
ようするにタコグルメは孤高の代わりに作られたのだった。
ここでは、おんたこの生みの親、物干炉理竹の人格があきらかになる。
快楽のためにいくらでも他者を殺す自己チューな性格がこれでもかと描かれている。

実録「火星人少女遊廓の起源とその歴史」では、火星人遊郭は、三次元着ぐるみを着せた少女を虐待する場所だとわかる。
三次元着ぐるみをCGだアニメだ二次元だといって「合法化」したのだ。
その理屈付けがだいにっほん精神分析の全部で、その権威が等間舵郎。

三つに共通するキーワードは、ラカンと欲望。

ラカンは全く知らないのでウィキペディアをみてみた。
彼はセミナーで講義する人で、出した本は一冊だけ(しかも超難解)。
それ以外のラカン本は二次資料、他者のフィルターを通したラカンだ。
ということは、ラカン使いorラカンヲタをテーマとしているのかも。



そこまでは分かった。でも後はよく分からない。
ま・いいや、面白かったし。
キーボードをとりあうナノレンジャーはじゃれあう猫みたいでかわいいし。

あ、火星人少女遊廓はポルノはガス抜きという欺瞞・児童ポルノ法案の反論の変さを形にしたものなのかも。
私的には児童ポルノ法案の反論にはもやもやとした違和感を形にしてくれてスッキリ。
反論には被害者救済の視点がないんよ。自分のために反論しているだけ。
肝要なのは被害者を作らないために何をするべきかだ。まずそのためだけに知恵を絞るべき。

話がそれた。今回の好きなフレーズ。
生き生きと流れる生命の噴出は君のものに!」@金毘羅
生命の噴出って…、排便だよね。ああ排便がこんな美しい表現になるとは。
人は諦念すると自己放棄しそこから分析を狂信する。」@物干炉理竹
炉理っちは人を汚すのが大好き。馬鹿を汚すために9条超え~。
シゲヒコハスミ」@金毘羅
おもろい。蓮實重彦を逆にしただけなのに、おもろい。

あと、炉理っちが孤高を税金で展示しようと言っていたのは、のちに「めいわく史」6pの「無意味な物博物館」となるのだと思われる。


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