『蒼生2019』特集「あなたとして生きる」インタビュー餅井アンナの感想

『蒼生2019』の感想をメモ。裏表紙が表紙を反転させたデザイン、可愛い。
特集「あなたとして生きる」
開発ユニットAR三兄弟の川田十夢さんインタビュー。
笑うって分かるってことで、分からないものに笑わないんですよ人は。
なるほど。確かに全く理解できないものを面白いとは思えません。
笑いを取れればツカミOK的な。私のブログもそう言う風にわかりやすく書きたいものです。

早稲田大学文芸・ジャーナリズム論系出身ライター餅井アンナさんのインタビュー。
大学に入るまで挫折もなくマジョリティとして生きてきて、疎外感を感じたことがなかったというのが面白い。
ーー自分の個性や好きなものを強みとして何かを書いていると、「個性的でなければならない」という義務感に囚われてしまったりしませんか。

餅井 ありますね。今はだいぶ抜けてきたんですけど。それこそ文ジャ的な気風として、過激な方向というか、エクストリームに走らなきゃいけない空気があるじゃないですか。実際、在学中の私もそれに乗っかっていたと思うし。私が学生だった時って、SNSとかで「承認欲求」って言葉がすごく流行っていた時期で。例えば、性癖が安定していないとか、コンテンツとして消費しやすいですよね。それが当人にとってコンプレックスだったりするとなおさらその空気に乗っかってしまうというか、私も当時は必要以上に自虐していました。でも、それってやらないほうが良かったことだなって今は思うし、今目の前にやってる人がいたら「やめなよ」って言いたくなる。
わかる。自虐は止めたくなる。見てても楽しくないしね。むしろ褒めあう方が幸せ感高くて好きだな。
歳を重ねると自分の長所や短所も自然と濃くなるもので、今思えば「個性的でなければ」とある必要なかった気もします。
餅井 早稲田のハラスメント問題については、正直なところニュースを見ても全然びっくりはしませんでした。とうとうか、みたいな感じで。在学中も「あの人はああいう人だからしょうがない、うまく受け流さないとね」って自分も含めてみんな言っていた。なあなあにしてしまっていたんですよね。そんな空気が保たれていた中で、実際に進路を絶たれた人が出てきてしまって……。私個人の実感としては、「みんなうっすら共犯」じゃないですけど、一点の曇りもなく、潔白な状態で「そんなことがあったんですか、ひどいですね」って言える人って、あの場所にはいなかったと思います。みんなと言い切ることはできないけれど、「自分たちが流してきたことで、消極的に悪に加担してしまった」という意識を抱いている人は少なくないはずです。ハラスメントがハラスメントとして怒られない時代もあったけど、今は怒る人がいるというか、みんなやっと怒れるようになってきたわけですよね。この間も「週刊SPA!」が「ヤレる女子大生ランキング」で炎上したじゃないですか。あれも今まで怒られなかったのにいきなり怒られて、「なんで?」みたいな感じになっている人が作り手側にも読み手側にもいるように思います。生きている人たちの考えが少しずつ変わり続けている世の中で、そこに目を向けず、自分の中で当たり前になっていることを全く疑わないまま無邪気に信じ続けてしまった。それは相手の顔を見てないということにも繋がりますよね。
(うわあ、うまく受け流せって、セクハラ禁止法以前の会社みたいだ。)
大学のセクハラ黙認する雰囲気がよく伝わってきます。
これからはセクハラ許さない雰囲気になって、学生達が要らぬ苦労をせずにすむ大学になってほしいですね。苦労するのは勉学だけで十分。
餅井 そうなんですよ。本当に、自分より年下の人たちにいらない苦労はして欲しくない……。早稲田のセクハラの件は、自分たちが特に何も考えないまま、そういう価値観のアップデートを消極的に邪魔してきたっていう気持ちがあって、それがすごく申し訳ないです。同じように反省していて、これからは態度を変えていきたいと言っている人たちを何人も見ました。在学中の子たちも、こうしてハラスメントの問題について考えて、状況を少しでもよくしようとしていますよね。それなのに、もっと大人の人たちのなかには、特に反省していない人もいる。それは本当にダメだと思う。学生を受け入れる場所として、学生を守ろうとしう気持ちがない人が上に立っているっていつのは不健全じゃないですか。下にいる人のために自分の足元を崩したり、自分の持ち物を手放したりができないんだなっというので、とってもがっかりしたし、怒りを感じます。

ーー特に文芸・ジャーナリズム論系というフェミニズムやジェンダー論を学生に教えている場で、こういうことが起きてしまったことで、学生たちが誰を、何を信じて良いのか変わらなくなってしまいましたよね。いくら星人を迎えているとはいえ、学生は大学にいる大きな大人たちに守られ、かつ言うことに従っている立場であるので。それでも、ハラスメントは今後も生じると思います。どうしたらいいのでしょうか。

餅井 私も中学生のときに学校の先生からセクハラを受けたことがあって、当時も今の早稲田みたいに、強い人におもねってなあなあにしようとしたり、露骨にもみ消しをしようとする先生がいました。本当に大人が信用できなくなりましたね。セクハラを受けた本人はショックを受けるので精一杯なところがあるので、被害者に対して何か気をつけた方がいいとか、うまく立ち回れ、なんて言えません。だから気をつけるべきなのは、ハラスメントを受けた本人というよりは周りの人だなとは思うんですけど、話が聞ける状態なら、どんな場合でもまず はちゃんと相手の顔を見て話を聞くべきだと思います。それができない場合ももちろんあると思いますし、人が他人にできることって限られているので、遠くから「それっておかしいよ」と小さくてもいいから声を上げるとか、安心できる場所を用意しておくとか、態度で「私はあなたの味方だよ」と示すとか……。 闘うだけがやり方ではないし、状況と相談しつつ、できることをやるしかない気がしています。
話を聞いて支援する、素人にはそれも難しい。特に私は人の話を聞くのが下手だから…。
少なくとも支援に適切に繋げられる人になりたいですね。

特集「紙の本を保存すること」田中雛子「料理本をひらく」
一人暮らしで外食の濃い味付けがあまり得意でないとか、かぼちゃの煮物食べたいと思ってネットレシピで作ったら食べたいのと違うとか。メチャクチャ分かる。
私は実家で料理してたけど、それでも思った味になるには時間がかかったな。
本は検索できる電子書籍派だけど、料理のレシピだけは本がいいね。
タブレットだと何度も見直すのに手間を感じるんだよね。

このブログの人気の投稿

『蒼生2019』特集「文学とハラスメント」に笙野頼子「これ?二〇一九年蒼生の解説です」掲載(2)

更新停止のお知らせ

新刊「笙野頼子○○小説集」予約