夕刊を読むの忘れていて、うっかり見逃すところでした。
毎日新聞2009年1月26日夕刊 文芸時評の「私のおすすめ」コーナー
野崎歓さんの三冊に『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』が選ばれています。
http://mainichi.jp/には掲載されていないので紹介します。
野崎歓さんのおすすめはこの三冊。
1)津島佑子『あまりに野蛮な』
2)笙野頼子『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』
3)ジャン=ポール・デュボワ『フランス的人生』
女性作家たちの忍耐強い精神
自らの痛みや苦しみの源を見つめ続けることで、「我」を越えた境地に達する。そんな忍耐強い精神に恵まれているのは、男性よりも女性作家たちの方なのだろうか。
短絡的に決めつける必要はないけれど、ついそう思わされる本を立て続けに読んだ。
(中略 一冊目のおすすめ)
「傷のある眼球」をもつ女性作家が目を凝らしてみる世界は、悪意や欺瞞に溢れているが、「水晶の中の虹」のような美にも溢れている。笙野頼子ならではの文章の鮮烈な味わいに浸る。
(後略 三冊目のおすすめ)
なるほど。悪意が描かれるから「水晶」の美が際立つのかもしれません。