妊産婦死亡 公表されている人数より35%多い
2008年04月16日 NHKの夜のニュースで流れていた。
妊娠や出産が原因で亡くなる女性は、公表されている人数よりも35%多いことが、厚生労働省の研究班の調査でわかりました。妊娠や出産に伴って脳出血などを起こし、産婦人科以外の診療科に移されたケースが報告されていなかったためで、専門家は「母親の命を守るためには実態を正確につかみ、産科とほかの診療科が連携することが必要だ」と指摘しています。
平成17年の妊産婦死亡者数は62人+22人で84人。
妊娠や出産に伴う死因としては、大量の出血などのほかに、胎児や胎盤に大量の血液を供給するため、血管や心臓の負担が大きくなって、脳出血を起こすなどのケースがあります。
公表されている統計では、平成17年に全国で62人の妊産婦の死亡が報告されていますが、脳出血などで産婦人科から別の診療科に移された場合には、妊産婦の死亡として報告されないことも多く、実態を反映していないのではないかと指摘されてきました。
このため、厚生労働省の研究班は、平成17年に死亡した10代から49歳までの女性全員1万6000人余りを対象に、死亡と妊娠・出産との関係を詳しく分析しました。その結果、妊娠や出産が原因で死亡したとみられる人が新たに22人見つかり、公表されている妊産婦の死亡統計より35%も多いことがわかりました。
22人の詳しい死因は、
▽脳出血やくも膜下出血が10人、
▽心臓病が6人、
▽肺の血管が詰まる肺そく栓が5人、
▽大動脈りゅう破裂が1人でした。調査を行った国立循環器病センター周産期科の池田智明部長は「日本の周産期医療は、これまで未熟児を救うことを中心にやってきて、母親の命を守ることに不十分な面があった。妊産婦に視点を当てた医療を進めるためには、実態を正確に把握したうえで、産科とほかの診療科との連携を早急に進める必要がある」と話しています。