週刊金曜日10/20号に「猫キッチン荒神」著者インタビュー

週刊金曜日 2017年 10/20 号 [雑誌]
週刊金曜日2017年10月20日(1157)号の特集「抵抗する文学」に笙野頼子さんのインタビューが掲載されています。
特集:民主主義かファシズムか|週刊金曜日公式サイト
『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』笙野頼子インタビュー
「小池百合子という人は、怒れる女性や反原発を『捕獲』して人々を騙す。人間の皮を脱いだら人喰い鬼の正体を現すだけです」
(聞き手・伊藤氏貴)、
『R帝国』中村文則インタビュー
「選挙の結果次第では、たぶん日本は見たこともない景色を見ることになると、僕は思います」
(聞き手・伊藤氏貴)、
『闘う文豪とナチス・ドイツ トーマス・マンの亡命日』池内紀インタビュー
「トーマス・マンは決して情報を鵜呑みにしなかった。情報が安直に手に入る今、その集め方には『自分の流儀』が必要です」
(聞き手・倉本さおり)、と豪華ラインナップ。
笙野さんはトップバッターでp26〜28に掲載されています。
で、今から私が言いたいのは外国と戦争して、勝つか負けるか、もちろんそれも大変おそろしい事ですが、国内で弱い者を喰うのが戦争だと言うことです。その上戦争自体もそこに至る道も大変見えにくい。一言でいうと偽物が本物になり変わる時代なので。
ドゥルーズ/ガタリが使っている「捕捉装置」という概念があります。これを使って少しお話します。『千のプラトー』のドゥルーズはこの捕獲装置を貨幣に関してしか使わないんですけど、私は「だいにっほん三部作」(『だいにっほん、おんたこめいわく史』『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』『だいにっほん、ろりりべしんでけ録』)で、ずっとテーマを拡大し追求してきました。「捕獲」とはどういうことか、まず、一つの本質的な存在があります。反原発であってもフェミニズムであっても、小さい集団などがあって、それがまず一見小さくともガチな切実なことを語る。そうすると必ず、偽物が出てきて似たようなことを叫ぶ。その時には、そっくりながらも曖昧で参加しやすい大きな仕掛けを作るんです。その中へだまして参加させた人を全部取りこんで、「こっちこそ本物だ」という。元の小さい団体の方は潰れてしまいますね。すると偽物は反原発でもなんでも、そこで止めちゃうんですね。
最近で言えば、小池百合子という人は、それを実にうまくやった人です。前の選挙の時は、フェミというより「怒れる女性」を捕獲したんですね。つまり怒れる女性の皮を被って、しかも本当に怒れる女性たちではなくて、怒れる女性たちの中でユルイ人たちを集めて、戦う女性のふりだけをして選挙に勝ってしまった。で、今なにをやっているかというと、今度は「反原発」を言い始めましたよね。つまり反原発を捕獲するということですね。一生懸命反対してきた人たちを押しのけて、自分が権力を握ってしまえば、もうそれで全部終わりなわけですよ。そして反原発を紛らかして止めちゃった後は企業の内部留保に言及し始めた。次々とガチの問題を取って喰う、紛らかすんですね。例えて言うなら、人間を喰って殺そうと思って、人間の皮を被っていると。これが「捕獲」であると。だまされた人は、喰われてしまうんですね。すると、もう人間の皮は脱いで、人喰い鬼の正体を現すだけです。
その「人喰い」を近作は一つのテーマとしてきたが、政治だけでなく経済や大企業も関わってくるという質問に対して、
では実際の政治はなにが動かしているか。それは投資家の都合だけであるとここへきて私やっとわかったんです。つまり投資ということは主体がない。一億出している人も10円出している人も、無責任で、いい加減。しかしなにが儲かるか数字だけ考えていれば。人類は滅んでしまいますね。
ただ、お金をゲームにしていたら、お金の大切さとか人生におけるお金の意義とかがなくなってしまう。まさにドゥルーズのいう「貨幣が、利子によって捕獲される」という状態だと思います。
そんな中、少子化の放置や正社員絶滅計画、この政府の真意はなんでしょうか? つまり日本の貧乏人って、今、ひどいことはいっぱい起こっていますけれども、まだ多くは靴も履いているし、教科書も持てる。だけどそれを早く第三世界の貧乏と「平等」にして、つまり「下の方」の日本人を殺して、そして安い外国人労働力と取り替えたい。これが人喰いの望みですね。
著作をきちんと理解したインタビュアーが的確な質問をし、その答えがぎっしり3ページに収録され、聞き手のまとめも後記に残されている。
『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』の内容を直接言及してないが、本質的に紹介しているという(特にドゥルーズ方面から)。お見事です。これは選挙の前によんでおきたい。おすすめ。

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