『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』メモ:シリーズについて

笙野頼子『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』よりメモ。

「シリーズはこの先、「猫キッチン荒神」、他「クロゼット荒神」、「猫シンデレラ荒神」と続く予定だが、それらはおそらくドラのいない時間をも含みながらドラと生きるという設定になる」

『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』p274

小説神変理層夢経シリーズの続きは「猫キッチン荒神」「クロゼット荒神」「猫シンデレラ荒神」というタイトルになるそうです。

シリーズは全六部なので並べるとこんな感じ。
番外編「猫トイレット荒神」
第一章『猫ダンジョン荒神』
第ニ章「猫キャンパス荒神」(すばる2012年3・4月号掲載)
第三章「猫キッチン荒神」
第四章「猫クロゼット荒神」
第五章「猫シンデレラ荒神」

ニ作目「猫キャンパス荒神」は書籍化が難航している様子。

「猫キャンパス荒神」という長篇に地震の事も近隣の事も書いた後である。「売れない」以外の理由で、この長篇が、文芸誌を有している出版社から出しにくいという、愚劣すぎる事情を抱えたまま、毎日を生きていた。

『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』p82

「小学生中学生にもすぐ判る面白いものならばいくらでもお書きいただいてようございますよ」といういそいそした愛嬌たっぷりの電話で、シリーズ中止の本当の理由を宣告されたりもしてるけどね、でもまあ(そんなの録音しちゃったし、だって「この同性間セクハラに遭い」という語をお取りくださいませ、とか「相談されちゃったせいで)純文学は続くから。

『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』p42

該当文が思い当たらなかったので「猫キャンパス荒神」(すばる2012年3月号)を見返してみたらありました。

「二〇〇八年新春、(中略)しかもまずいことに、棚主は前年末に受けた同性からの嫌がらせで現実の性への嫌悪感が極限に達していた。」

「猫キャンパス荒神」すばる2012年3月号p97

(これは『萌神分魂譜』p50 手の甲ねぶられた事件を指してるのかな?)
なんともはや。変だなとは思っていたのです。
集英社の文芸誌「すばる」に掲載された『猫ダンジョン荒神』が講談社で刊行されたり、「猫キャンパス荒神」の後に発表された「母の発達」シリーズが書籍化したり。
それにしても、そんなことで。
出版社の中の人には、シリーズの続きを心待ちにしている読者が沢山いるのを忘れないでいて頂きたいものです。

ちなみに、「猫トイレット荒神」は小説神変理層夢経シリーズ序章として「文藝」に三回連載されました。
しかし単行本には番外編として収録しています。変更の理由は後書きに書かれていました。

猫ダンジョン荒神が完成した時、ドラは生きていた。老猫といられる貴重な時間を「永遠」に止める呪術として私はこの理層夢経小説を描いていたのである。猫トイレット荒神もそのつもりだった。書きはじめた初夏、ドラは癇癪も収まり、何よりも若々しく元気になり復活していた。認知症はあっても、私がずっと側にいたから克服出来ていた。
猫の時を永遠に止めるため、時間の感覚を相対化した世界をこのシリーズのテーマにしていたのだった。

『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』p274

しかし連載中に伴侶猫ドーラは亡くなってしまいました。

しかし猫との時間がふいに途切れ心の立ち位置が大きく飛んだこの「序章」だけはシリーズから外して番外編とするしかなかったのだった。元々、荒神様シリーズのディフォルトとなるものを詰め込んだ章だったので「番外クイズ編」と改題した。

『母の発達、永遠に/猫トイレット荒神』p275



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