週刊金曜日01/25に笙野インタビュー

週刊金曜日2019年01月25日号(no.1217) に笙野頼子さんのインタビューが見開きで掲載されています。 特集:新たな奴隷労働!?移民大国 ニッポン|週刊金曜日公式サイト 【シリーズ】私たちは黙らない!vol.13
「格差もTPPも辺野古も文学で「報道」できる」笙野頼子 撮影・聞き手・まとめ:岩崎眞美子さん 最新作『ウラミズモ奴隷選挙』の世界観が、2003年刊行『水晶内制度』から始まる事、権力者の言語を「おんたこ」と名付け小説に描いてきた事、安倍政権の言説がまさに「おんたこ」であることなど話がすすみます。(ーーは聞き手の発言) 戦争より怖いTPP ーーそのおんたこ政権が権力言語で民主主義を煙に巻き、様々な悪法を可決し続けています。特にTPP (環太平洋戦略経済連帯協定)関連法に関しては近作で強く警鐘を鳴らされていましたね。 21世紀に入ってすぐの、小泉純一郎内閣の郵政民営化と規制緩和で、あっという間に格差と貧困が広がりました。TPPはその仕上げですね。21世紀は、性暴力と経済暴力の時代なのです。これらは暴力を振るう側にとって「お得」なもので、そのツケはみな、女たちや弱い立場の人たちに押しつけられます。 TPPに付随する経済条項は、ある意味戦争よりも原発よりも恐ろしいと思います。なぜなら、TPPは生活の必要不可欠な部分から搾取するからです。水道をはじめとした公共の制度をどんどん民間企業に渡して好きなようにさせる。金がないからと自分の庭で野菜を育て種を取ったり井戸水を使ったりしたら新法で罰せられる。節約で工夫することができない部分から根こそぎ奪って行くのです。なんとしてでもTPPから脱退しなければ。 TPPが「戦争よりも原発よりも恐ろしい」とは。正直そこまでの恐ろしさを認識できていなかったですね。 ーーTPPの問題は非常に重要なのに危機感が広く伝わっていません。しかし笙野さんの小説では、その後あっという間に壊れて行く「にっほん」の姿が描かれ、私たちの未来像としてリアリティがあります。 文学は「報道」に向く 大手メディアがまともに報道していないということが問題ですね。私はやむなく文学で「報道」してきました。部数は少なくとも話題になればいい。タイトルや帯に「戦争を止めよう」「TPP反対」とあるだけでも本屋でプラカードのような役割を果たし...