『私にとっての憲法』に笙野頼子「ガラス細工の至宝」収録


4月21日に刊行された岩波書店『私にとっての憲法』の第4章に笙野頼子さんの「ガラス細工の至宝」が収録しています。
本書は様々なジャンルで活躍する方々53人による日本国憲法についてのエッセイがてんこ盛り。多角的な視点で憲法語られています。
私にとっての憲法 - 岩波書店
馬場秀和ブログにさっそく感想あがっていました。
笙野頼子『ガラス細工の至宝』(『私にとっての憲法』岩波書店編集部 収録)
東條さんのつぶやきも。


第4章の笙野頼子「ガラス細工の至宝」では、TPP交渉差止・違憲訴訟の会に入っている笙野さんは「その中で憲法とは何か、新しい一面が見えたと思った。」そうです。
憲法、それはTPPによって、或いはまた今後いくらでも襲ってくるいくつもの人喰い条約によって、底を抜かれる桶のようなものに「過ぎない」のだ。いくらたがを嵌めても、水を汲めなくなる。
その上の国際条約であるTPPやFTAやTiSAで、グローバル企業に有利な条約を作られたら、いくら憲法で人権を保障しても蹂躙されてしまうわけです。国際条約チョー危険。
親川志奈子「沖縄人の私の日本国憲法」では、日米地位協定とともに憲法は語られています。
近年日本国憲法が再考されている。先住民族やLGBTなど制定当時可視化されていなかったマイノリティに言及し、過去には持ち得なかった視点で人権に配慮するのかと思いきや、あるいは、日米地位協定が日本国憲法よりも上位に来ている今のあり方を問い(翁長雄志沖縄県知事に「日本の独立は神話か」などと言わせないよう)独立国家として米国と対等に交渉できるようにするのかと思いきや、自民党の憲法改正草案はとても懐古的な内容になっていた。
いくつかのインタビューで「憲法改正をどう思いますか?」と問われ「日本人は「押し付け安保」とは言わないくせに「押し付け憲法」と言いますよね。日本国憲法を捨てるなら沖縄人に下さい、私たちはそれを持って独立しますから(もちろん9条からのスタートです)」と回答したことがあるが、沖縄人にとって日本国憲法とは、沖縄人の政治的地位に直結するテーマだと思う
そういえば日米地位協定だって国際条約だ、日米安保条約とか以前から国際条約に苦しめられてるかも。古くて新しい問題なんだな。

第5章の浜矩子「日本国憲法はグローバル時代の救世主」では、グローバル時代こそ日本国憲法は貴重な指針となり「日本国憲法の心意気こそ、グローバル時代の心意気である」と書かれている。そういう風に活かしていきたいものです。

あと、憲法9条は日本の首相が提案したものという史料が発見されてたんですね。知らなかった。
東京新聞:「9条提案は幣原首相」史料発見の東大名誉教授・堀尾輝久さんに聞く:政治(TOKYO Web)

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