書き下ろし長編小説『猫沼』感想まとめ

笙野頼子『猫沼』がステュディオ・パラボリカより2021年1月25日より刊行されました。
【新刊】笙野頼子『猫沼』| ステュディオ・パラボリカ
公式ショップの通販にはサイン本あります。(サイン本完売だそうです)2/22の猫の日まで送料無料。
公式:https://www.parabolica-bis.com/SHOP/books_103.html
初版限定でカラー猫写真帖16Pの付録つき。
飼猫ピジョンさんはもちろん、ドーラ・ギドウ・モイラ・ルウルウの写真も収録。かわいい。
装幀はミルキィ・イソベ+安倍晴美さん、装画に渡邊加奈子さん。
(Amazonで在庫なしでも、楽天e-honとか紀伊國屋に在庫ありです)
内容は、2017年から2020年1月までの著者の暮らしを綴った、猫を亡くした悲しみを抱えて生きる飼主小説。
伴侶猫ドーラと茶トラ軍団のために千葉で一軒家を買った作者は、ついに最後の飼猫ギドウを看取り、一人暮らしになってしまいます。その孤独と喪失、そして飼主を亡くしたピジョンとの出会い。新たに受け入れた猫との生活は幸福、なのに喪失感に襲われる。猫と共に生きる人生の明暗を描き出します。
その天国と地獄の落差が強烈。
でもラストは、鉛色の印旛沼が明るいオレンジ色の猫沼に変わるんですよ。
ペットがいる方は泣いちゃうんじゃない。私も泣きそう。
ピジョンお嬢様の猛獣ぶりもすごい。想像以上に絶叫系。上品な写真との落差ありすぎだわ。

未闘病記』『猫キッチン荒神』『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』の続編的な本作。
愛別外猫雑記』の猫達のその後にも触れられていますので、読者なら楽しめること間違いなし。

追記)2/27に笙野さんの近況をアップさせて頂きました。
写真ばかりの近況報告 | 笙野頼子資料室
ピジョンお嬢様のお元気な写真盛り沢山です。

感想リンク集

馬場秀和さんが目次や各章のあらすじ、関連作まで丁寧に解説されています。
『猫沼』(笙野頼子) | 馬場秀和ブログ
本作は「ひさしぶりのかなりストレートな猫小説」、まさに猫が主役ですね。
そうだ、モイラの生まれ変わりの話は、月刊ねこ新聞2018年1月号のエッセイにも書かれてました。
月刊ねこ新聞1月号笙野頼子のエッセイ | 笙野頼子資料室ブログ

僕らだって扉くらい開けられる/陰獣/サクラオト/猫沼 : phantasmagoria
うさぎやさんの感想です。「作者と猫の物語の語り直しなのだと思った」
ギドウを亡くしピジョンを迎えた現在からの語り直しでしたね。

書評リンク集

●東京新聞2021年2月27日(土)読書面「3冊の本棚」で平田俊子さんが『猫沼』を紹介されています。併せて稲葉真弓『ミーのいない朝』、寺田寅彦『激石先生』さんを紹介。

●週刊新潮2021年4月8日号で伊藤氏貴さんが『猫沼』を紹介されています。
溺れるほどに猫を愛する 作家の心に宿った“祈り” | レビュー | Book Bang
「猫のために一軒家を買った作者の、猫たちの姿を眺めながら自身の生を振り返る、半自叙伝とも言える作品だ。」

●好書好日 2021年9月29日あの本をなぜ紹介できなかったのか 朝日新聞文芸担当記者が語り尽くす第2回「とっておきすぎ読書会」後編
『猫沼』と『笙野頼子三冠小説集』を紹介されています。

装幀は黄色のカバーから一転、薄水色の見返しが印象的。沼色表紙とのコントラストが美しい。キラキラ花布のアクセントもいいよね。

最後の11章「猫続」で紹介されていたファンサイトの近況報告は下記です。
お知らせ主体の近況報告 | 笙野頼子資料室
昨年の猫の日の話で結局、腫瘍は「低悪性の末梢神経鞘種」なんですよね。お嬢様には猛獣のまま長生きして欲しいよ。

このブログの人気の投稿

『蒼生2019』特集「文学とハラスメント」に笙野頼子「これ?二〇一九年蒼生の解説です」掲載(2)

更新停止のお知らせ

新刊「笙野頼子○○小説集」予約