笙野頼子『ひょうすべの国』の書評が出てきてますよ。遅ればせながらまとめていきます。 『ひょうすべの国』感想リンク集はこちらへ 図書新聞 図書新聞 第3282号(2016年12月10日号) 岡和田晃「〈世界内戦〉下の文芸時評」第22回『ひょうすべの国』に触れられています。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3282 図書新聞 第3284号(2016年12月24日号) 2016年下半期読書アンケートで岡和田晃さんが『ひょうすべの国』を選ばれています。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3284 群像2017年1月号 群像2017年1月号 で清水良典「現在形の「戦争」(『植民人喰い条約 ひょうすべの国』笙野頼子)」が掲載。 http://gunzo.kodansha.co.jp/48080/48148.html 「表現がすべて」の略が発端である。その「表現」とは、TPPとその黒幕であるIMFが世界に垂れ流して強制する国際企業の利益至上主義の目論見に歪んだ、言葉面だけはもっともらしい修辞体系に他ならない。広告料でマスコミを買い取られているゆえに事実が隠蔽された「表現」であり、芸術も学問も売上利益で価値が計られる「表現」である。愛すべき民話の主人公に風評被害の迷惑がかからぬよう厳重に断った上で、その「表現がすべて」すなわち「ひょうすべ」に日本が呑み込まれ、食い荒らされた末期の姿を本書は幻視するのである。 ディストピアではあるものの、これは著者の長い創作史上、女性が家庭を持ち子供を育てる初の題材であり、しかもセックスから切り離された稀有な「女の一生」である。同時に日本が「にっほん」となり、さらに「だいにっほん」へとグロテスクに変容し、ついにウラミズモに占領されるという未来史は、今後の壮大な「にっほん」サーガのベースとなりそうな予感を孕んでいる。 「にっほん」サーガ!年代記になっていくかもしれない。確かに! ・私小説ではなく埴輪家の衰亡記 ・セックス抜きの「女の一生」を描く ・だいにっほん三部作系統の話のバリエーション と書かれているところが印...