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「図書新聞」3267号で「おばあちゃんのシラバス」書評

「図書新聞」3267号 2016年08月13日号の岡和田晃さん連載「〈世界内戦〉下の文芸時評」第18回「優生学的な暴力に立ち向かうための声と論理」にて、笙野頼子「おばあちゃんのシラバス」(文藝2016年8月号)が取り上げられています。 今週の図書新聞 図書新聞と読書人は、コンビニのコピー機でも購入できますよ。300円入れて e-shinbun 関連のボタンを押すと新聞が印刷されます。便利や。

7/31朝日新聞「政治断簡」で『だいにっほん、おんたこめいわく史』引用

2016/7/31(日)朝日新聞朝刊の政治面「政治断簡」にて笙野頼子『だいにっほん、おんたこめいわく史』が言及されていました。 (政治断簡)「私、「失敗」しないので」政治部次長・高橋純子 新聞記事の画像アップされている方も あわせて平成28年6月1日 安倍内閣総理大臣記者会見 スピーチでは気づかないが、文書ではカギカッコをつけて、自分の都合の良いよう言葉の再定義ができるように保留しているという記事。 「論座」2008年6月号インタビューにも触れています(朝日新聞出版の雑誌でした)。 タイトルは「極私から大きく振り返って読む「だいにっほん」三部作 「文学の言葉、それは人間の肉体から発し、歴史を背負う。国家や市場経済に対抗する言語です」」でした。 「だいにっほん」三部作完結記念特集で、あわせてエッセイや短編小説も掲載されて。 そうそう『 だいにっほん、おんたこめいわく史 』は、 『 だいにっほん、ろんちくおげれつ記 』 『 だいにっほん、ろりりべしんでけ録 』で完結するの三部作もの。 あと 2016年秋以降に発売予定の新刊『ひょうすべの国』 も「だいにっほん」ものです。 高橋純子さんは「 「だまってトイレをつまらせろ」 あなたならどうする 」を書かれた方ですか。 ちり紙がないからといって水に流せるティッシュ使うなど、施政者に都合のいい行動をとる必要などない、選択肢は他にあると自由な気持ちになれるコラムでした。

小山田浩子『穴』文庫版に笙野頼子の解説

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2016年8月1日発行の 新潮文庫版・小山田浩子『穴』 に、笙野頼子さんの解説「読んでくれてありがとう/書いてくれてありがとう」が収録されています。 本作は2014年1月に出た単行本の文庫化。 芥川賞受賞の表題作「穴」(「新潮」2013年5月号)、「いたちなく」(「新潮」2013年7月号)、その続編的単行本書下し「ゆきの宿」を収録しています。 新潮社の小山田浩子 『穴』 あらすじは。 「仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。」 馬場秀和ブログであらすじを丁寧に解説されてます。 『穴』小山田浩子:馬場秀和ブログ 解説の内容も紹介。 『読んでくれてありがとう/書いてくれてありがとう(小山田浩子『穴』文庫版解説)』笙野頼子 笙野さんの下宿時代のイタチ話も発掘されてます。すごい。私全然覚えてなかった。 それでですね、なぜ笙野さんが解説を担当されたかというと。 2010年新潮新人賞受賞作の「工場」で世に出た作者に、私はマジ注目した。すると好きな雑誌のインタビューで「二百回忌」という拙作を好きだと彼女は言ってくれていた。それは二百年に一度死者の蘇ってくる法事を描いたものなのだが、1994年、大昔の作。主人公はいわゆる東京遊民で、独り者の猫飼い、賃貸住まいである。しかもただ郷里でカーニバル空間を体験して帰ってくるお話。故に構造は単純、進行も三日で八十枚。が、今日……。 私も文芸雑誌で好きな作家に名前を挙げられているを見た記憶があります。日常が異界にずれる形は 初期の作品 と共通しているかもしれません。 解説では本質的な解説、社会構造的な解説、あらすじに沿った解説の三段階が展開。 この、不況格差閉塞、震災後社会である。中に主人公は地方在住の賃労働既婚女性。なんという重圧。さて、なのに……。 この作品、生き物も時間も、声までも触れてくる。暗く陰を落とす時代において、或いは今も変わらぬ女性の困難の中で、けしてめでたくはない、だけどすべてが見渡せる混在的時間を、仕止めてきている。貴重な本物の絵を、自然の怖さ時間の豊かさをも込めて描く。それ...

日本慢性看護学会学術集会で講演

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7月16・17日に一橋大学一橋講堂で行われた第10回日本慢性看護学会集会の特別講演で、笙野頼子さんが「膠原病を生きぬこう-生涯の敵とともに」と題した講演をなされました。 講演の場は、日本慢性看護学会という専門的な学会の10年の節目にあたる学術集会で公式サイトも開設されています。 http://mansei10.umin.jp/index.html 笙野頼子さんが7月16日、日本慢性看護学会学術集会で講演されました。自らの闘病経験に基づく『未闘病記』を中心に、作家として、膠原病患者として話され、講演後はサイン会も開催。先着の方々には愛猫ギドウくんのポストカードも進呈されました。 pic.twitter.com/ZoxPCLE54R — 群像編集部 (@gunzo_henshubu) 2016年7月19日 講談社「群像」twitterによると、そのあとサイン会が開催されてたらしいです。ギドウのポストカード、涼しげでいいですね。そういえば『未闘病記』は表紙だけでなく各章の頭や奥付の裏までギドウの写真のってましたな。

笙野頼子『ひょうすべの国』2016年秋ごろ発売予定、ひょうすべ連作書籍化

twitter文藝アカウントによると、笙野頼子さんの単行本『ひょうすべの国』が2016年11月24日ごろ発売されるそうです。 「文藝」で掲載された下記のひょうすべシリーズなど収録し書籍化される予定。 ・ 「ひょうすべの嫁」2012年冬号 ・ 「ひょうすべの菓子」2013年春号 ・ 「ひょうすべの約束」2016年夏号 ・ 「おばあちゃんのシラバス」2016年秋号 など ・ 「人喰いの国」2016年秋号 追記)アマゾンで予約ページできました。 『ひょうすべの国』 ひょうすべシリーズでは、「だいにっほん三部作」*に登場した木綿助いぶき兄妹の母親・埴輪詩歌が登場。2016年から2060年までの「だいにっほん」時代より一世代前の過去話が明らかに。 戦争法案を施行しTPPに批准した「だいにっほん」になる以前の「にっほん」の社会を描いています。 【ひょうすべ5】笙野頼子「ひょうすべ」シリーズについては、こちらも参照ください……その3、「ひょうすべ」とは何か?……なおシリーズの単行本『ひょうすべの国』は秋ごろの刊行を予定しています。お楽しみに!! — 河出書房新社 文藝 (@Kawade_bungei) 2016年7月9日 *「だいにっほん三部作」とは『 だいにっほん、おんたこめいわく史 』、『 だいにっほん、ろんちくおげれつ記 』、『 だいにっほん、ろりりべしんでけ録 』の三作です。

文藝2016年秋号に短編「おばあちゃんのシラバス」

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7/7発売の 「文藝」2016年秋季号 に笙野頼子さんの短編「おばあちゃんのシラバス」が掲載されています。 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309978864/ 「おばあちゃんのシラバス」は、2012年冬号「ひょうすべの嫁」と2013年春号「ひょうすべの菓子」2016年夏季号「ひょうすべの約束」につづくシリーズ四作目。 前作の「ひょうすべの約束」は、グローバル企業に支配されTPP批准した日本の十数年後を新自由主義社会「にっほん」(とウラミズモ)の世界として描くディストピア小説。その主人公埴輪詩歌がウラミズモに亡命できなかった話でした。今作は彼女とその祖母埴輪豊子の話です。 前作にもちょいちょい出てきた膠原病のおばあちゃん、実は薬で症状を抑えながら大学の非常勤講師として40年働いていたそうです。 主人公は高校三年から1年間、祖母の介護をしながら家庭教師をうける。 6年間教えて修士までの学問を学ぶ本格教育で、最初の一年はその概要を教える形。 それ自体がシラバスみたいなものってことさね、つまり何を習うかを教えるのさ 政治学はお家でミクロ政治学、ていうよりかどうしてこんな時代になったかを自分の体験からせめて理解しようよ。だけど今年はともかくシラバスの一年ですp427 なぜ熱心に教えたかというと、どうして人喰い社会になったか理解できる大人に育てるため。 しかし持病抑える薬の価格がTPPで高騰し薬が買えなくなり、祖母は一年で亡くなってしまう。 豊子が死ぬとその娘で詩歌の母でもある埴輪ひるめは、ずっと冷静だったはずがふいに狂的に泣き喚いた、おばあちゃんを殺したのはお前だと自分の娘の詩歌を責め、殴りかかった。p424 この場面が辛すぎる。火星人遊郭で働かなかったから親が死んだと娘を責めているのですよ。本当はTPPで医療が高額化しまともな治療を受けられなくなったためだし、児童労働を強制する社会そのものがおかしいはず。なのにそれがわからないと子を責める親になってしまう。仮に子を売って祖母を生かしたとしても、今度は母親なのに子を犠牲にした事実に苦しむ事になるのでは。 子か親かどちらかを売らないと生きていけないひょうすべ社会。どちらを選んでも地獄、恐ろしすぎる。ぞーん。 発売日にもう馬場秀和さんの感想がアップされています。内容...

文藝家協会ニュースに笙野頼子エッセイ

文藝家協会ニュース(No.762)2016年4・5月合併号の「会員通信」に笙野頼子さんのエッセイ「沖縄の学生、沖縄「戦後」ゼロ年」が掲載されています。 掲載誌は日本文藝家協会の月報です。主な内容は活動内容の報告で、「会員通信」は会員の最新情報のページとともに掲載されていました。 「沖縄の学生、沖縄「戦後」ゼロ年」笙野頼子 2011年、伴侶猫が死んだ淋しさから、立教大学院の特任教授になった。猫は十五で脊椎湾曲と癇癪と痴呆になり、そこから二年八カ月看病した。看取り終えて、生まれて始めての「お勤め」である。優秀な学生何人かに出会った。中に沖縄から来て博士課程に進んだ金城君(仮名)がいた。三年間もいてくれてむしろ教えられた。本土の沖縄街が出てくる作品で私は芥川賞を受けたけれど、難病でもあり、沖縄自体には行ったことがない。 金城君は目取真俊氏で卒論を書き、氏をノーベル賞にふさわしい作家と尊敬していた。この彼との縁で、昨年は崎山多美さんにも対面出来た。そして学校は今年の三月三十一日で任期満了、が二日後の四月二日、ヤフーニュースに驚愕、……悩んで金城君にメールすると、「この逮捕で目取真氏の研究ができなくなるのでは」等言われ困惑していた。「世界は目取真氏の味方」と返信して、ともかく協会のサイトに出そうとコメントを書いた。しかし出なかったので、抜粋をここに残す。ーー「目取真さんの御作は文芸文庫でも拝読しています。小説以外のものも、沖縄「戦後」ゼロ年が良かったです。この本によって私は、沖縄でまだ戦争が終わっていないのも同然の苦しみが続いている事を教えられました。/本土はかつても今も沖縄を犠牲にし迷惑を掛け続けています。投票で基地反対の結果が出ても、法律を変えてまでずっと勝手な決定を押し付けている。そんな不公平の結果出来た規則に拘束されて、逮捕されるのはあまりに不当です。他国は基地周辺住民の負担が減るようせめて努力するのに日本はしていない。」ーー今後協会サイトの改善を希む。 (昨年、雑誌「越境広場」が創刊された。崎山さん、又吉栄喜さんらが寄稿されている。本土の無関心や誤解に対しての優しい働きかけ。一号には山下洋輔氏も)。 四月一日に沖縄米軍基地で抗議行動されている目取真俊氏が米軍警備員に拘束されたニュース、私も見ました。 目取真俊さんをアメリカ軍が拘束 辺野古で抗議の芥川賞作...